ギラン・バレー症候群の診断には、臨床症状の評価に加えて、神経学的検査や髄液検査、電気生理学的検査などが用いられます。特に髄液検査で見られる蛋白細胞解離や、神経伝導検査による病型の判別は、診断確定と治療方針の決定に不可欠です。ここでは、各検査の特徴と診断における役割について解説します。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。
診断の流れと検査方法
臨床症状の評価に加えて、神経学的検査や髄液検査、電気生理学的検査などが用いられます。
神経学的診察と髄液検査
診察では、筋力、腱反射、感覚、協調運動などを詳細に評価します。腱反射の低下または消失は早期から認められる特徴的な所見です。医師が膝や足首を叩いても反射が起こらないことが、診断の重要な手がかりとなります。
髄液検査では、タンパク質は増えるのに細胞の数はあまり増えないという特徴的な所見(蛋白細胞解離)が典型的で、発症後1週間以降に明らかになることが多いです。髄液中の蛋白濃度は100〜300mg/dL程度まで上昇することがあります。
ただし、発症早期には蛋白濃度が正常のこともあるため、臨床症状と合わせて総合的に判断します。髄液検査は腰椎穿刺により行われ、他の神経疾患(髄膜炎や脳炎など)との鑑別にも有用です。
神経伝導検査と筋電図検査
神経伝導検査では、末梢神経に電気刺激を与えて伝導速度や振幅を測定します。脱髄型では伝導速度の遅延や伝導ブロックが見られ、軸索型では振幅の低下が主体となります。
針筋電図検査では、筋肉に針電極を刺入して筋活動電位を記録し、神経原性変化の有無を確認します。これらの検査により病型を判別し、治療方針や予後予測に役立てます。検査は発症後1〜2週間で行うことが多く、経時的に繰り返すことで回復の経過を追跡できます。
血液検査では、抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体、抗GQ1b抗体など)の測定が行われることもあり、亜型の診断に有用です。これらの検査結果を総合的に評価することで、正確な診断と適切な治療方針の決定が可能になります。
まとめ
ギラン・バレー症候群は、感染後に突然発症する自己免疫性の末梢神経疾患であり、両側性の筋力低下や感覚障害を主症状とします。下肢から始まり上肢、体幹、顔面、呼吸筋へと進行する特徴的なパターンを示し、早期の診断と治療が重要です。免疫グロブリン療法や血漿交換療法により多くの方は回復に向かいますが、回復には時間を要し、後遺症が残ることもあります。男性にやや多い傾向がありますが、性別を問わず発症する可能性があります。力が入りにくい、しびれが続くといった症状に気づいたら、速やかに神経内科を受診することが推奨されます。
参考文献
ギラン・バレー症候群について(厚生労働省)
ギラン・バレー症候群診療ガイドライン(日本神経学会)
神経医療研究センター – 神経筋疾患ポータルサイト(国立精神・神経医療研究センター)
ギラン・バレー症候群治療ガイドライン(日本神経治療学会)

