疫学調査によると、ギラン・バレー症候群の発症率は男性が女性の約1.5倍とされています。この性差の背景には、カンピロバクター感染症の罹患率や生活習慣の違いなど、複数の要因が関与している可能性が指摘されています。ここでは、発症率の性差と考えられる理由について詳しく説明します。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。
男性に多い理由と性差の背景
男性にやや多く発症することが疫学調査で示されており、その背景には生物学的要因や生活習慣の違いが関与している可能性があります。
発症率の性差と年齢分布
国内外の疫学研究によると、ギラン・バレー症候群の発症率は男性が女性の約1.5倍とされています。年齢層別では、若年層と高齢層に二峰性のピークが見られ、特に50〜70歳代の男性での発症が多い傾向があります。
若年層では男女差が小さいのに対し、中高年層では男性優位が顕著になることから、加齢に伴うホルモンや免疫機能の変化が関与している可能性が指摘されています。ただし、性差は地域や人種によっても異なり、一部の研究では明確な性差が認められないとの報告もあります。
性差の背景には複数の要因が考えられますが、明確なメカニズムは未だ解明されていません。今後の研究により、より詳細な理解が進むことが期待されます。
感染症罹患率と生活習慣の影響
男性に多い理由の一つとして、カンピロバクター感染症の罹患率が男性で高いことが挙げられます。生肉や加熱不十分な鶏肉の摂取機会が男性で多いことや、飲酒を伴う外食の頻度が高いことが関連している可能性があります。
また、喫煙や飲酒といった生活習慣が免疫応答に影響を与え、自己免疫疾患の発症リスクを高めることも考えられます。職業的な曝露(農業や食品加工業など)も、感染機会を増やす要因となり得ます。
これらの要因が複合的に作用して、男性での発症率が高くなっている可能性がありますが、明確なメカニズムは未だ解明されていません。今後の疫学研究や基礎研究により、性差の背景がさらに明らかになることが期待されます。
まとめ
ギラン・バレー症候群は、感染後に突然発症する自己免疫性の末梢神経疾患であり、両側性の筋力低下や感覚障害を主症状とします。下肢から始まり上肢、体幹、顔面、呼吸筋へと進行する特徴的なパターンを示し、早期の診断と治療が重要です。免疫グロブリン療法や血漿交換療法により多くの方は回復に向かいますが、回復には時間を要し、後遺症が残ることもあります。男性にやや多い傾向がありますが、性別を問わず発症する可能性があります。力が入りにくい、しびれが続くといった症状に気づいたら、速やかに神経内科を受診することが推奨されます。
参考文献
ギラン・バレー症候群について(厚生労働省)
ギラン・バレー症候群診療ガイドライン(日本神経学会)
神経医療研究センター – 神経筋疾患ポータルサイト(国立精神・神経医療研究センター)
ギラン・バレー症候群治療ガイドライン(日本神経治療学会)

