明後日の夜8時40分。サトルと園子の誕生日ケーキが運ばれた、幸せの絶頂の瞬間、りさ、義母、弁護士の三人が店内に乗り込む。弁護士は総額1500万円の慰謝料・違約金請求を告げ、義母はサトルを糾弾。りさは離婚届を突きつけ、復讐を完遂する。
ついに始まった地獄のディナー
明後日の20時。高級イタリアン「ラ・ルーナ」にシタ2人は現れた。
私たちは、弁護士の篠原先生、義母、そして私の3人で、店の外の目立たない場所から店内の様子をうかがう。サトルと園子は、窓際の席でシャンパングラスを傾け、親密そうに笑い合っている。妊娠8か月のおなかを抱える私にはつらい光景だけど、もはや動揺などしない。
20時40分。フロアの照明が少し落とされ、店員がワゴンを押して2人のテーブルに近づいた。園子の目の前に置かれたのは、バースデープレートと、ロウソクが立てられた美しいケーキ。
「おめでとう、園子。愛してるよ」
サトルの甘い声が聞こえてきそうな、完璧なタイミング。「いきましょう」篠原先生が静かに言った。私と義母、そして篠原先生は、迷うことなく店内に踏み込んだ。義母はサトルに気づかれないよう、少し顔を伏せている。
「お待ちください」
篠原先生がシタ2人のテーブルに近づき、静かに声をかけた。サトルと園子が同時に顔を上げ、私たちが立っているのを見て、完全に凍りついた。特にサトルは、私の隣にいる義母を見て、顔から血の気が引いていた。
「え…どうして…」
「サトルさん。そして、園子さん。私はりささんの代理人弁護士です」
篠原先生はテーブルに1枚の書類を置いた。
「本日は、皆様に共有すべき重要な情報があります」
その重要な情報とは、2人がこの不倫を続けることで支払うことになる、慰謝料と違約金の総額。篠原先生は淡々と告げた。
「接近禁止合意書を交わした後も、お2人は不貞行為を継続しました。これにより、園子さんには違約金と再度の慰謝料として総額1500万円を請求します。サトルさんには離婚慰謝料、養育費、および財産分与として、別途請求を行います」
サインはケーキのあとで
店内がざわめき、園子は顔を真っ赤にしてうつむいている。サトルは、ただ口をパクパクさせている。その時、義母が顔を上げた。
「サトル、あなたは人として、父親として、最低よ」
私は冷たい目でサトルを見下ろした。
「おいしそうなケーキね。ゆっくり食べていいから。その後、隣のカフェにきてね」
私たちが店を出て隣の喫茶店にいると、ものの5分ほどでトボトボとやってきた2人。おいしそうなケーキには一口も手をつけなかったみたい。

