『ギラン・バレー症候群』の“回復の見通し”と「治療法」を医師が解説

『ギラン・バレー症候群』の“回復の見通し”と「治療法」を医師が解説

ギラン・バレー症候群の治療は、免疫グロブリン大量静注療法または血漿交換療法による急性期治療と、リハビリテーションによる機能回復が中心となります。治療開始が早いほど回復が早く、後遺症のリスクも低減するため、診断確定後速やかに治療を開始することが推奨されます。多くの患者さんは時間をかけて回復していきます。

田頭 秀悟

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

治療法と回復の見通し

免疫療法による急性期治療と、リハビリテーションによる機能回復が中心となり、多くの方は時間をかけて回復していきます。

免疫グロブリン療法と血漿交換療法

急性期の治療として、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)または血漿交換療法(PE)が行われます。IVIGは、血液中の病的な自己抗体を中和し、免疫反応を調整する効果があります。通常、1日あたり0.4g/kgの免疫グロブリンを5日間連続で投与します。

血漿交換療法は、血液中の自己抗体や炎症性物質を物理的に除去する方法で、数日おきに計4〜6回の交換を行います。どちらの治療法も同等の効果があるとされ、施設の設備や患者さんの状態に応じて選択されます。

治療開始が早いほど回復が早く、後遺症のリスクも低減するため、診断確定後速やかに治療を開始することが推奨されます。ステロイド薬の単独使用は効果が乏しいとされ、一般には推奨されていません。

リハビリテーションと回復期の支援

急性期を過ぎて症状の進行が止まると、リハビリテーションが開始されます。理学療法では関節可動域の維持、筋力増強、歩行訓練などが段階的に行われます。作業療法では上肢機能の回復や日常生活動作の再獲得を目指します。

言語聴覚療法は嚥下機能の改善に有効です。回復には数ヶ月から1年以上を要することが多く、根気強く訓練を続けることが大切です。約80%の方は1年以内歩行可能レベルへ回復するとされていますが、約10〜20%の方には筋力低下や感覚障害などの後遺症が残ることがあります。

回復期には、栄養管理、精神的サポート、家族への教育も重要な要素です。社会復帰に向けて、医療・福祉・就労支援の連携が求められます。

まとめ

ギラン・バレー症候群は、感染後に突然発症する自己免疫性の末梢神経疾患であり、両側性の筋力低下や感覚障害を主症状とします。下肢から始まり上肢、体幹、顔面、呼吸筋へと進行する特徴的なパターンを示し、早期の診断と治療が重要です。免疫グロブリン療法や血漿交換療法により多くの方は回復に向かいますが、回復には時間を要し、後遺症が残ることもあります。男性にやや多い傾向がありますが、性別を問わず発症する可能性があります。力が入りにくい、しびれが続くといった症状に気づいたら、速やかに神経内科を受診することが推奨されます。

参考文献

ギラン・バレー症候群について(厚生労働省)

ギラン・バレー症候群診療ガイドライン(日本神経学会)

神経医療研究センター – 神経筋疾患ポータルサイト(国立精神・神経医療研究センター)

ギラン・バレー症候群治療ガイドライン(日本神経治療学会)

配信元: Medical DOC

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