俊哉はさつきを責めず、10万円を「高い勉強代」と割り切ることを提案。冷静な話し合いの中で、二人は「簡単に儲かる話には必ず裏がある」という教訓を再確認します。
10万円より大事なこと
俊哉にすべてを打ち明け、彼の優しさに触れたことで、私の心は少しずつ落ち着きを取り戻していきました。次の日の夜、なおが寝静まった後、私たちはダイニングテーブルで向かい合って座りました。
「俊哉、怒ってないの?」
私が尋ねると、俊哉はグラスの水を一口飲んで、静かに答えました。
「怒るなんて。さつきが一番つらいのは分かってたし、さつきが何かをしようと思ったのは、俺たちの将来を考えてくれたからなんだろ?」
その言葉に、また涙が出そうになりました。
「それにさ、」と俊哉は続けました。
「10万円よりも、家族の笑顔のほうが何億倍も大事だよ。俺がさつきを責めて、さつきが心を病んだら、それこそ取り返しがつかないよ」
失敗から学んだこと
私たちが本当に失いたくないものは、お金なんかじゃない。家族の笑顔と、信頼なんだと、改めて痛感しました。その上で、私たちは「安易なお金の増やし方」について、たくさん話し合いました。
「よく考えれば、冷静になればわかるだよ」と俊哉は言いました。「本当に儲かる話なんて、人に無料で教えたりしない。もし、誰でも簡単に大金が手に入るなら、みんな今ごろ働いてないと思わない?そこに気づけなかったのは、さつきの心の隙を突かれたんだね」
私も頷きました。ミオさんの「離婚でつらい女性を救いたい」という言葉は、私の「家族を守りたい」という切実な願いを逆手に取った、計算し尽くされた罠だったのです。私たちは、この経験を無駄にはしないと決めました。
俊哉は「警察への届け出も考えたけど、少額だし、海外のサーバーだと追跡も難しいだろう。今回は本当に『勉強代』として割り切るのが現実的かな」と、冷静に判断してくれました。

