「稽留流産の治療方法」は何かご存じですか?医師が解説!

「稽留流産の治療方法」は何かご存じですか?医師が解説!

妊娠が分かると、嬉しい気持ちと同時に、さまざまな不安が生じてきます。

その中の1つである流産は、残念ながら誰にでも起こりうるものです。その中でも稽留流産は流産の自覚症状がなく、妊婦健診で初めて流産していることを知るので、妊婦さんのショックは計り知れないものとなります。

今回は稽留流産の治療方法などを詳しくご紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「稽留流産」とは?原因やなりやすい人など医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

稽留流産の治療方法

悩みを抱える女性

稽留流産だった場合どのような治療を行うのか教えて下さい。

稽留流産と分かった場合の治療方法は自然に排出されるのを待つ方法と手術の2通りがあります。
子宮内容(胎児とその付属物)が自然に排出されるまで待つ場合は、自然な回復が望める場合が多く、手術・麻酔を行うことで生じるトラブルもありません。また、妊婦さん自身に流産という現実を受け止める時間を作ることもできるでしょう。
しかし、いつ自然に排出されるのかが予測できないため、排出されるのを待っている間に大量の出血・強い腹痛・感染症などを起こす危険があります。自然に排出される様子がない場合は、結局手術となります。したがって、それらを予防する目的で、診断がついた時点で手術を選択する場合が多いです。
その手術を子宮内容除去術といい、子宮内から子宮内容を取り出し、きれいにする方法となります。子宮内容除去術は静脈麻酔で行われるため、眠っている間に手術は終了し、手術中に痛みを感じることはありません。手術自体は通常15〜20分程度で終了します。
流産は大変残念なことですが、手術をして子宮内をきれいにすることで、次の妊娠に向けて心・身体づくりを促すという目的があります。

稽留流産を経験してから流産しやすくなってしまうといったことはあるのでしょうか?

稽留流産を経験したからといって、流産しやすくなることはありません。稽留流産の原因のほとんどは受精卵の染色体異常です。
染色体異常の確率は流産経験ではなく、女性の年齢が高いことに比例して上昇するため、高年齢では流産の確率も高くなります。また今回の稽留流産が初めての流産であれば、一般的な同年代の女性と比べて、次の妊娠で流産の可能性が高くなるとはいえません。流産が2回繰り返し起こった場合を「反復流産」、3回以上繰り返し起こった場合を「習慣流産」といい、反復流産の頻度は2〜5%で習慣流産の頻度は1%程度です。
早期流産が連続して起こった場合には、何らかの不育症の原因(夫婦の染色体異常・内分泌疾患など)も考えられるため、専門医を受診して検査をすることもあります。ただし、検査をしても不育症の原因を特定できないことも多く、その場合は原因不明の流産ではなく、受精卵の染色体異常が繰り返し起こったことによる流産である可能性が高いと判断されます。

稽留流産を予防する方法があれば知りたいです。

先ほどもお話ししましたが、稽留流産を含む早期流産の主な原因は受精卵の染色体異常です。したがって、流産かどうかは受精した段階ですでに決まっているとも考えられるため、残念ながら予防する方法はありません。
しかし、高年齢の女性では受精卵の染色体異常も多いことが分かっているので、妊娠・出産年齢については考えたほうが良い点となります。
予防することは難しいですが、まれに母体側の疾患が早期流産に関係している場合もあり、抗リン脂質抗体症候群などの血液凝固異常で血栓症を起こしやすい人・内分泌疾患・子宮形態異常などをお持ちの人は、治療について担当医とよくお話しすることが大切です。

手術費用の相場はいくらくらいですか?

稽留流産の場合、一般的に行われるのは子宮内容除去術です。これは、必要な治療行為に当たるので健康保険の高額療養費制度が適応されます。
この制度を利用すると、所得によって上限額の差はありますが自己負担額が減ります。費用は各医療機関や母体の状態によって変わりますので、分かるようであれば事前に病院に確認しておくと、安心できるでしょう。
また、日帰りか入院かによっても異なります。医療保険や生命保険に個別に加入していれば、給付金の対象になる場合があるので、保険会社に確認しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

稽留流産は、現代の医学では残念ながら防げないとされています。流産の兆候をあらわす自覚症状がなく超音波検査をして初めて分かることが多いため、妊娠の喜びが一気に落胆へと変わってしまい、その悲しみは図り知れません。
しかし、稽留流産は胎児側の原因で起こることがほとんどであることが分かっています。そして、妊娠全体の約15%、つまり10人に1〜2人が経験するほどまれなことではないのです。
不安や疑問などは抱え込まずに、産婦人科医にご相談下さい。流産の悲しみからすぐに立ち直ることは難しいかもしれませんが、ご家族のサポートを受けながら次の妊娠に向けて少しずつ気持ちを切り替えていきましょう。

編集部まとめ

ピンク色の小花を握る2人の手
稽留流産について、兆候・原因・治療などについて詳しくご紹介いたしました。

妊娠初期に起こってしまう稽留流産は、未然に防ぐことが難しいものであることがお分かりいただけたと思います。

流産は、女性にとって人生の中で大変なショックとなる出来事の1つといえますが、起きてしまった後は、母体の安全を一番に考えることが大切です。

その人に合ったより良い治療を選び、安定した経過を辿って、ゆっくりと気持ちを切り替えながら次の妊娠に備えていきましょう。

参考文献

8.稽留流産の診断(日本産婦人科医会)

流産・切迫流産(日本産科婦人科学会)

配信元: Medical DOC

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