“料理クリエイター”と名乗ることにした理由
小竹:まずは、りよ子さんのプロフィールをご紹介します。1996年、茨城県生まれ。OLとして働きながら、2023年4月から始めたインスタグラムで「すべてを蒸したい気持ち」を投稿。冷蔵庫にあるものだけでパパッと作れる簡単レシピが共感を呼び、現在はフォロワー数が20万人超え。そして、去年9月に発売した初めてのレシピ本『すべてを蒸したい せいろレシピ』は30万部を突破。さらに、第12回料理レシピ本大賞では、料理部門の大賞を受賞されました。
りよ子さん(以下、敬称略):ありがとうございます。
小竹:“料理クリエイター”という肩書きは、どのようにして生まれたのですか?
りよ子:私自身が出しているレシピは、冷蔵庫にある食材で作る日常のごはんが多いので、プロの料理家と名乗ることに違和感がありました。自信もそれほどなかったですし、どちらかというとSNSでの発信がメインだったので、クリエイターのほうがしっくりきて、自然とこうなりました。
小竹:クリエイターというのは、動画作成にも情熱をかけているという想いもありますよね?
りよ子:動画を作ること自体も好きで、撮影することも好きで、編集することも好きなので、料理と撮影と編集をして世に出すことがセットみたいなイメージで活動しています。撮るのも自分で、台本を考えるのも自分で、編集だけ手伝ってくださる方に一部お願いしています。
小竹:料理作りと動画作りは、どちらが先なのですか?
りよ子:料理作りが先ですが、動画を撮るようになってからは、動画映えするものを意識した料理を考えるようになりました。やはり派手なものや見栄えがいいもののほうが再生数は伸びるというのは感じています。
小竹:せいろは昔から使っていたのですか?
りよ子:SNSを始める1年前くらいから使っていて、健康なごはんを食べようと思った時期が、さらにその1年前くらいにありました。なので、あまり揚げたり焼いたりしない食生活自体は、4~5年続けています。
小竹:せいろ以外の食事も食べるのですよね?
りよ子:食べるのですが、家での料理は試作も兼ねているので、週4~6くらいはせいろごはんになっていますね。それでも飽きないです。
せいろには“癒し効果”もある!
小竹:せいろに出会ったきっかけは?
りよ子:今の前の前の家に引っ越したときに、キッチンをDIYしたんです。夫とDIYをして、すごい木のキッチンになったので、おしゃれなキッチンツールを買い集めていました。そのときすでに蒸し料理やヘルシーごはんに興味があったので、せいろを購入しました。
小竹:そこからどのようにしてせいろにハマっていったのですか?
りよ子:「こんなに楽なんだ」というのはありましたね。フライパンや鍋は使い終わった後に洗うのも重たくて、賃貸の狭いキッチンで大きな鍋を洗うのは大変だったのですが、せいろはすごく軽いですし、ササッと洗ってポンッで終わるので、すごく楽でしたね。
小竹:当時は書店にせいろの本もあまりなかったと思うのですが、自分で思いついたものを入れるような形だったのですか?
りよ子:そうですね。なので、最初は料理というよりは、ただ野菜を入れてとか、パンをそのまま入れてとかでした。
小竹:りよ子さんの本にはパンのレシピもありますよね。パンをせいろに入れるという考えは私には全くなかったのですが、それは自分で思いついたのですか?
りよ子:はい。パンを入れる頃には、もう結構いろいろなものを入れていたので、いけるかもと思っていた気がします(笑)。
小竹:逆に、せいろに入れないほうがいいものはあるのですか?
りよ子:失敗したことがあるのは乾麺です。たっぷりのお湯で茹でるタイプの乾麺は失敗しました。でも、早茹で3分などのコロコロしたタイプのパスタは、器に水を入れて乾燥したまま入れたらできました。
小竹:いけちゃうのですね。
りよ子:ボールに水を張って、乾燥したパスタを入れて、表記時間のプラス2~3分長めに蒸したらいけました。あと、下処理をしていないサバをそのまませいろで蒸したときは、臭みがもろに出てしまってダメでしたね。
小竹:下処理をすればおいしくなるのですかね?
りよ子:そこから私はやらなくなってしまって…。缶詰を代わりに使うようになりました。サバ缶やイワシ缶をせいろで蒸すときは、缶詰ごと温めて食べてもおいしいし、トマトとかと料理にしてもおいしいです。ものすごく手軽ですしね。
小竹:蒸せばいいと思うと、忙しいときや疲れているときにもおすすめですよね。
りよ子:心の余裕もちょっと生まれます。せいろの丸い木の見た目に癒し効果がある気がします。今はスマホだし、パソコンだし、紙なので、日常で木に触れる機会はあまりない。だから、木に日常的に触れるということも癒し効果につながっている気がします。
小竹:多くの方がりよ子さんの料理にハマっていますが、どう感じていますか?
りよ子:「こんなものもできたんだ」とか「こんなに簡単だったんだ」などとよく言っていただくので、簡単だけどちょっと丁寧風な見た目になる点がいいと思ってもらえたポイントなのかなと感じています。

