人気の秘密は“野菜をたくさん食べられる”こと
小竹:りよ子さんが考えるせいろの魅力は?
りよ子:使っていて楽しいとか、素材の味がシンプルでおいしいとか。あと、私としては、ヘルシーに食べられることとか。そういった小さな魅力がたくさんあることだと思いますね。
小竹:インスタグラムでせいろ蒸し料理を投稿し始めてから、最初にバズった動画どういったものだったのですか?
りよ子:「真夏のお昼ごはん、夏野菜まみれ。」という名前がすごいレシピです(笑)。名前は感覚でつけていて、料理のタイトルというよりは、「こういう印象を受け取ってほしい」というものをサムネイルのタイトルにしているので、ちょっとおかしいな感じなんです(笑)。
小竹:そのレシピには、どういったものを入れたのですか?
りよ子:ナスとトマト、ズッキーニ、あとは豆苗とツルムラサキ、にんじんとかですね。紫に緑に赤にオレンジにと、割とカラフルですね。
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りよ子|すべてを蒸したい せいろ レシピ|痩せ+美肌(@musu_riyoco)がシェアした投稿
小竹:今までで一番再生数が多い動画は?
りよ子:「痩せたいOLのせいろごはん。」という動画です。これも内容は一緒で、旬の野菜をただ切って入れて蒸して食べているだけの動画です。
小竹:なぜその動画が人気なのか、ご自身ではどう分析されていますか?
りよ子:みんな野菜が食べたいのかなと思いましたね。私のインスタを見てくれている方は、なんとなく健康意識がちょっと高い感じがしているのですが、野菜を食べたい意識はあるけれど、思ったより食べられていないから、たくさん詰めて食べられるのがいいのかなと感じました。
小竹:りよ子さんの暮らしがちょっと見えるのも人気の秘密なのではないかと感じました。エプロンをしていないとか、仕事から帰ってきたままでやっていたりする感じとかに共感できる人が多いのかなと思いましたが、どう感じますか?
りよ子:エプロンをしないのは、意識しているわけではなくて、実家の母もエプロンをしていなかったんです。エプロンをして料理をしているのを見たことがないので、私も自分で料理をするようになってもエプロンはしていないんです。そのラフな感じが良かったのかなと思っています。
とにかく買って入れて蒸してみてほしい
小竹:書籍を出すことになった経緯を教えてください。
りよ子:最初はこの本のライターさんから「本を出しませんか?」とDMをいただいたんです。プライベートアカウントからの連絡だったので、半信半疑ながら「では、一度オンラインでお話ししましょう」となり、そうしたら学研の田村さんなどがいたんです。本当にそんな話があるんだと驚いたところから、あれよあれよという間に進んでいきました。
小竹:今日は編集の田村さんもいらっしゃるのですが、どのようにりよ子さんを発見したのですか?
田村:りよ子さんがインスタグラムを始めて半年くらいの頃に、見る度にフォロワーが増えているインスタグラマーがいるとライターさんから教えてもらったんです。実際に見てみたら、すごくカジュアルで好感度が高い印象で、今までのせいろレシピ本にはない雰囲気があると感じて、ぜひやってみたいと思って連絡させてもらいました。
小竹:じゃあ、チームで作った感じですかね?
りよ子:はい。本当にいろいろな方におんぶに抱っこで、自分一人で作ったという感覚は全くなく、みんなで一緒にチームで作ったという感覚がすごく強いです。
小竹:レシピもチームで考えたのですか?
りよ子:最初の1冊目は、半分くらいは私のインスタのレシピを綺麗に本用に整えたものなのですが、私も一気にたくさんのレシピを作るというのが初めてだったので、何をどう手をつけたらいいのかがわからなくて…。だから、みなさんのご意見聞きながらやっていました。
小竹:ちなみに、どのレシピが苦労しましたか?
りよ子:私はいつも似通った食材を手に取ってしまうので、本だと似通った食材がバーッと並んでしまうことになる。今までそんなことを考えたこともなかったので、かぶってはダメなんだみたいなところも難しかったです。あと、ガッツリとヘルシーのバランスですね。せいろっぽいシュウマイばかりだと面白くないとか、全体を通して考えるのが難しかったです。
小竹:苦し紛れに生まれたレシピなどもある?
りよ子:「小松菜リボンの肉巻き」とかは結構苦し紛れです(笑)。もうちょっと可愛いらしいものもほしいと思って、でも思いつかなくて、肉巻きをどうにか可愛くしようと思って、小松菜で結びました。

『すべてを蒸したい せいろレシピ』(Gakken)より「小松菜リボンの肉巻き」撮影:有賀傑 スタイリング:黒木優子
小竹:そして、生まれたら可愛かったのですね(笑)。
りよ子:試作のときは、豚肉ではなくて牛肉でやったんです。牛肉のほうが色が黒いので、もうちょっとリボン感があって可愛かったのですが、牛のしゃぶしゃぶ肉はちょっと高いですし、すでに2回くらい出てきちゃっていたので豚肉になりました。
小竹:2冊目のときは、1冊目よりもすんなりといきましたか?
りよ子:レシピの考え方みたいなものにちょっと慣れた状態ではあったので、産みの苦しみはあまりなかったかもしれません。むしろ、あれも入れたいこれも入れたいで、ページ数的に入りきらなくて、結構削ってできていると思います。
小竹:本を出版したことで、周りからの反応は変わりましたか?
りよ子:本を出した方とよくお話をするようになりました。1冊目のときは、会社員なので本を出した人が周りにいないし、お話もできなくて、これどうなんだろうというのを1人で消化するしかなくて…。もちろん制作チームの方とはいろいろ話をしたのですが、そんなことあったよねみたいなフランクな話をできる友人ができたのがすごくうれしかったです。
小竹:『すべてを蒸したい せいろレシピ』が大賞に選ばれた要因をご自身で分析すると?
りよ子:これまでのせいろの本は、プロの本格的な点心などを紹介するものが多い中で、一般の家庭のキッチンで気軽に日常的に楽しめるというのが、自分で言うのもなんですが、革命的だったのかなって(笑)。
小竹:せいろ蒸しブームの火付け役で革命を起こしたりよ子さんから、みなさんにお伝えしたいことはありますか?
りよ子:これだけ流行っても、ハードルが高そうとか面倒くさそうといったイメージがまだあると思います。でも、本当に簡単です。「とにかく買って入れて蒸してみてください」とお伝えしたいです。
小竹:最初は何を入れればいいですかね?
りよ子:わざわざ買いに行くのすら面倒だと思うので、冷蔵庫にある野菜1~2品を切って10分くらい蒸したら、「おいしい!」とか「色が綺麗になって可愛い!」などと感じていただけるかなと思います。
(TEXT:山田周平)
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【ゲスト】
第48回・第49回(10月17日・24日配信) りよ子さん
せいろの魅力にとりつかれたOL。2023年4月に始めたInstagramで、すべてを蒸したい気持ちを投稿。野菜を蒸すだけのシンプルレシピから、一度に主菜と副菜が完成する同時調理レシピ、ごはんもの、スイーツまで、パパッと作れるレシピが共感を呼び、フォロワー数20万人超えと大人気に。初著書『すべてを蒸したい せいろレシピ』(Gakken)は、累計発行部数30万部越えの大ヒット。「第12回 料理レシピ本大賞 in Japan 2025」において、「料理部門 大賞」を受賞。
Instagram:@musu_riyoco
クックパッド株式会社 小竹 貴子
クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。
趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。
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