子どもの頃は理解できなかったことも、大人になって改めて振り返ると、その意味や背景が見えてくる場合ってありますよね。当時とは違った視点で物事を捉えることもできるはずです。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。
子ども心に抱いたのは、父への怒り
両親が離婚したのは、私が小学5年生のときです。
私は子ども心に、「父が悪い」と思い込んでいました。
母と2人で暮らす日々は不自由ではなかったけれど、どうして父はいないのか、母はどんな気持ちなのか……答えのない寂しさと怒りを抱えていたのを覚えています。
子どもだった私は、自分の感情をうまく言葉に出来ず、ただ父を「悪者」にしてしまっていたのです。
大人になって気づいたこと
母は私の前で父を悪く言ったことはなく、離婚後は「お父さんも頑張ってるのよ」と穏やかに話してくれました。
けれど、当時の私はその言葉の意味を受け取れず、父への不満だけが膨らんでいました。
最近になってようやく、父が父親としての義務をきちんと果たしてくれていたことが、決して当たり前ではなかったのだと気づきました。
世の中には養育費すら支払わない親もいると知り、改めて父の誠実さに胸を打たれたのです。
父は、私が就職するまで養育費をきちんと払い、生活や進学の援助も欠かしませんでした。
もしかしたら、父も辛い思いをしていたのかもしれない……そんな風に、少しずつ父への見方が変わっていきました。

