さゆりは静香と共に正勝の旅館へ向かい、夕食時に呼び出す。不倫相手の女と現れた正勝に、さゆりは離婚届を突きつける。
決戦の準備は整った
静香の機転で、正勝が予約していた温泉旅館の情報はすぐ手に入った。義実家の旅行の際、静香のスマホから正勝のアカウントで旅行サイトにログインしたことがあったという。そのときの情報が残っていて、予約したホテルは丸わかりだった。予約は男性1・女性1だった。やはり不倫旅行だったのだ。
静香はネットで調べあげた慰謝料の合意書を自力で作成。離婚届けは駅に向かう途中に役所の出張所でもらうことにした。
子どもたちは、予定通り私の実家に預けることに。両親には「義姉と旅行がしたい」と告げたら「仲が良くていいわね」と穏やかに送り出してくれた。両親のこういう優しさにいつも救われている。
ついに直接対決
正勝たちがいる旅館に着いたのは、夕食が始まるころ。静香が旅館のロビーから正勝の部屋に連絡をします。
「正勝、私よ。静香。急だけど、大事な話があるの。ロビーまで降りてきて。あ、そこにいる女性もご一緒にね」
静香さんの声は静かでしたが、有無を言わせぬ迫力がありました。数分後、正勝は呆然とした顔で愛人と一緒にエレベーターから降りてきました。愛人は、若くて派手な服装の女性で、私の顔を見るなり、すぐに青ざめていました。
正勝は私が実家にいるはずだと思っていたのでしょう。
「な、なんだよ、2人ともどうして来たんだよ」
正勝は完全に混乱していました。私は一歩前に出ました。手に持っていたのは、静香がクリアファイルに入れてくれた離婚届と慰謝料請求書です。
「あなたとは離婚します。そして、あなたとそこにいる女性に慰謝料を請求します。金額はここにある通りです。すぐにサインしてね」
「宿帳を調べれば、愛人さんの情報も全部わかるんだからね?逃げられないよ」
私と静香は静かな声で、2人の逃げ道をふさいでいきます。

