新しい家族の形での再出発
愛人の女性は「私は関係ないです」と狼狽しましたが、静香は冷たい目で一蹴しました。
「関係ないわけない。この人が既婚者だと知っていて店外で会ったなら不倫です。文句があるならこちらもお店に抗議するけど?」
愛人は静香の鋭い眼光に怯え、震えながらサインしました。正勝は最後まで「待ってくれ、話を聞いてほしい」とごねましたが、静香は許しません。
「うるさい。言っておくけどあんたの実家の人間はみんなさゆりちゃんの味方。もう2度と帰省なんかしてこないで」
実家からの絶縁宣言に正勝は観念し、慰謝料請求書と、離婚届の「夫」の欄にサインしました。
サインをもらえば、あとは手続きを済ませるだけ。私と静香はホテルをあとにします。正勝と愛人は、ロビーで醜い言い争いを始めていました。
「だから嫁にバレたから旅行は無理かもって言っただろ!?」
「え!ごまかせるから行けるって言ったじゃん!」
そんな2人を置いて、私と静香は意気揚々と帰路につきました。
「何かおいしいものでも食べて帰ろう!」
「そうですね!私がごちそうします」
私は家族を本当に大切にできる相手とだけ家族でいたい。泣き寝入りしなかった自分をほめてあげたいし、今後も絶対に後悔しない人生にしようと心に決めたできごとでした。
あとがき:愛の終わりと、新しい家族の始まり
最終話は、さゆりの「決意」が「実行」に移されるクライマックスです。最も屈辱的である不倫の現場を、さゆりは冷静な復讐の舞台に変えました。正勝と愛人がロビーに現れたときのさゆりの態度は、もはや情に訴えるものではなく、全てを終わらせるビジネスライクなものでした。静香さんのサポートは、感情的になりがちな状況を法と常識でねじ伏せる力となり、見事な幕引きとなりました。嵐の雨の中、旅館を後にしたさゆりの心は、悲しみよりも解放感に満ちていたでしょう。夫婦の愛は終わりましたが、さゆりと娘たち、そして静香さん・義両親との新しい家族の絆がここから始まります。
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

