ボーエン病の外観的特徴を詳しく理解することで、早期発見と適切な診断につなげることができます。病変の色調や形状、表面の性状など、特徴的な所見を把握することが重要です。ここでは視診やデルマトスコピーで観察される特徴について説明します。

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
ボーエン病の見た目
ボーエン病の外観的特徴を詳しく理解することで、早期発見と適切な診断につなげることができます。特徴的な所見を把握することが重要です。
病変部位の色調と形状の特徴
ボーエン病の病変は、その色調と形状において特徴的な所見を示します。色調は、典型的には紅褐色から暗紅色を呈することが多く、ときとして黒褐色調を示す場合もあります。この色調の変化は、病変内の血管新生の程度や、メラニンの沈着により影響を受けます。
病変の形状は、通常円形または楕円形を基調としていますが、完全に規則的な形状を示すことは稀で、多くの場合わずかに不整な輪郭を持ちます。辺縁部は比較的明瞭で、健常皮膚との境界は肉眼的にも容易に識別できることが特徴的です。この明瞭な境界は、炎症性皮膚疾患との鑑別において重要な所見となります。
病変表面の性状は、多様な所見を呈します。平滑で光沢のある表面を示す場合もあれば、顆粒状や乳頭状の表面を示すこともあります。もっとも特徴的なのは、細かい鱗屑の付着であり、これは病変表面の角化異常を反映しています。鱗屑は容易に剥離し、剥離後は軽度のびらん面が露出することがあります。
病変の大きさは、数mmの小さなものから、数cmに及ぶ大型のものまでさまざまです。多くの場合、発見時の大きさは1~3cm程度であることが多く、時間の経過とともに緩徐に拡大する傾向を示します。
デルマトスコピー所見と診断的特徴
デルマトスコピー(皮膚鏡検査)は、ボーエン病の診断において有用な非侵襲的検査法です。この検査により、肉眼では観察困難な微細な構造を詳細に観察することができ、診断精度の向上に寄与します。
ボーエン病のデルマトスコピー所見としてもっとも特徴的なのは、「点状・線状血管パターン」です。これは、病変内に点状の血管拡張と、不規則に配列した線状血管が観察されるもので、ボーエン病に高頻度で認められる所見です。この血管パターンは、病変部における血管新生と血管構築の異常を反映しています。
また、「鱗屑パターン」も重要な所見であり、表面に付着した鱗屑が特徴的な配列を示します。鱗屑は通常、不規則に分布し、一部では集積して厚い鱗屑塊を形成することもあります。この鱗屑の除去により、下層の血管パターンがより明瞭に観察できるようになります。
色調の面では、デルマトスコピー観察により、肉眼的には均一に見える病変内にも、微細な色調の変化が認められることがあります。特に、褐色調の領域と紅色調の領域が混在する「多色性パターン」は、ボーエン病の診断に有用な所見とされています。
まとめ
ボーエン病は上皮内がんでありながら、放置すると浸潤がんに進行する可能性があるため、早期発見と適切な治療が不可欠です。初期症状は軽微で見過ごしやすいものの、境界明瞭な紅褐色斑や持続する鱗屑などの特徴的な所見を理解することで早期発見が可能となります。主な原因である紫外線暴露やHPV感染を踏まえた予防策の実践と、定期的な皮膚検診により、発症リスクの軽減と早期治療につなげることができるでしょう。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス – 皮膚がん 日本皮膚科学会 – 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版厚生労働省 – がん対策推進基本計画

