ホテルから出てきた満たされた様子の二人の前に突撃。顔面蒼白になる謙太と、逃げようとして渚に捕まる不倫相手。明子は証拠写真を突きつけ、慰謝料300万円と別居、養育費支払いを明記した示談書を突きつけます。体裁を気にする謙太は抵抗できずサイン。明子は「離婚しない」と告げ、経済的な支配と、最高のタイミングでの離別を目標に、現実的な勝利を収める。
ついに夫へ制裁のとき
私たちは、ホテルの出口が見える位置で、2人が出てくるのを待ちました。2時間半が経過し、ようやくホテルの自動ドアが開きました。
謙太と不倫相手の女は、満足げに笑いながら、肩を寄せ合って出てきました。女は謙太の腕に手を絡ませています。その顔はまだ火照っていて、幸せそうに見えました。
「明子、行こう!」
渚が合図を送りました。
私は深呼吸をして、駐車場の陰から、一歩、一歩と、二人の目の前に歩み出ました。
「最高のデートだったみたいね、謙太」
私の声を聞いた瞬間、謙太の顔は、今まで見たこともないほど真っ青になりました。まるで血の気が一瞬にして失われたかのように、彼の顔から表情が消え去ります。腕に絡みついていた女は、私の姿を見て、反射的に謙太から手を離し、逃げようと一目散に走り出しました。
「待ちなよ」
その時、渚が動きました。元夫の不倫騒動で鍛えられた渚は、予想以上に素早かった。彼女は相手の腕をガッチリと掴み、逃げられないように押さえ込みました。女はヒールを履いているせいでバランスを崩し、その場で動けなくなりました。
謙太は渚の存在にさらに衝撃を受けています。2人がかりでくるなんて、夢にも思わなかったのでしょう。
裏切りへの代償
私は静かに、バッグからスマホを取り出し、先ほど撮ったホテルの写真を謙太に見せつけました。
「言い逃れはさせない。あなたとこの女が、このホテルに入っていくところ、出てきたところ、全部証拠があるの。弁護士も立てたから」
女は渚に捕まえられたまま、顔を覆い「ごめんなさい、ごめんなさい」と情けない声を出すだけ。
「この裏切りに対して、あなたは責任を取ってもらう」
私はポケットから、渚に協力してもらって作成した示談書を取り出し、2人に向かって突きつけました。
「あなたとこの女に不貞行為の慰謝料として300万円請求します。これを全額、1週間以内に支払って。もし断ったり期日が遅れたら、それぞれ職場とご両親にも通知書を送ります。
それと、謙太。私は別居する。引っ越しが住むまで家には帰ってこないで。婚姻費用は、そこに書いてある額を毎月支払うこと。ちゃんと法的に適切な金額と手順を踏んで決めたものだから」
謙太は震えながら言いました。
「待ってくれ! 会社と親にだけは言わないでほしい」

