
ライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」やInstagram(@yuppe2)でエッセイ漫画を描いている漫画家のゆっぺさん。彼女の代表作「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」は、完結後に電子書籍が発売され、多くの読者から感動の声が寄せられている。「人生で一番大切なことが描いてある漫画」と評される本作について、作者のゆっぺさんに話を聞いた。
■信じていたものが覆された終戦



本作では、ゆっぺさんの祖母「キヨさん」の幼少期からの実話が描かれている。父親の死により、幼くして養女として叔父の家で暮らすことになったキヨは、養母からひどいいじめを受ける日々を送っていた。
そんななか、日本は戦争に突入。学校では勉強よりも勤労奉仕が優先され、家では夜に灯りがつけられず、勉強する時間が奪われる状況に陥った。軍国主義教育が進められていくなかでの、突然の終戦の知らせ。「日本は勝っている」と教えられていた子どもたちは驚愕する。そして、戦後の暮らしもこれまでとは一変していくのだった。
■作者ゆっぺさんが語る戦争の記憶
ゆっぺさんに「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」やキヨさんについて尋ねた。
本作はキヨさんの人生を軸に展開されているが、戦争についての描写もリアルだ。戦争についての内容もキヨさんから聞いたのか尋ねると、「はい、すべて祖母から聞きました。(本作内で描かれている)戦後に未亡人が何人も地主の家を訪れ食料を持ち帰っていたという話は、目にした当時は何故(その女性を見て)怒られたのかわかりませんでしたが、あとからその意味を知りショックをうけたと言っていました。でも生き残るためには必要なことだった。身体が汚れても、心が汚れたわけではないと」と明かした。
また、戦後はそれまで禁止されていた英語が積極的に教えられるようになり、教育面でもさまざまな変化があったということも聞いたそうだ。そのあたりの詳細についても、漫画内で描いているという。
キヨさんから当時の話を聞いたあと、キヨさんへの印象は変わったのか尋ねると、「それまでは笑顔で明るい印象しかなかったので、まさかこんなつらい過去があったとは思いもよりませんでした。『私は普通の家庭で育っていないから、思考がおかしいの』と言いながらも、他人の評価や意見に左右されず、感情をコントロールすることができる祖母は強い人だと思いました」と語った。
そんなキヨさんの近況を尋ねると、「相変わらず(本作でも登場する)手鞠作りに没頭しているようです。先日はブレーカーが落ちたのを雷で停電したと勘違いして、暗い部屋で1時間もじっと耐えていたらしいです(笑)」と話した。
戦前からの日本を目の当たりにしながら、懸命に人生を歩んできたキヨさんの生き方に感銘を受ける人は多いだろう。また、キヨさんが体験した「戦争」についても当時のリアルな様子を知ることができ、学ぶことも多い。まだ読んでいない人は、「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」をぜひ読んでみてほしい。
取材協力・画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。製品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

