ガソリン代高騰を理由に車出しを渋ってみたあすか。サオリは電話をかけてきて、謝罪し「自力でお店に行く」と伝えた。彼女の配慮に喜んだあすかは、再び車出しを申し出る。しかし、洋二に「いいように使われているのでは?」と言われ、親友という関係のあり方を見つめ直す。
車出しが当たり前
しばらくして、またいつものように、サオリと会う約束の段取りをLINEで進めていた。お店の候補を出し合い、私が提案したお店に決まった。
「わあ、ここすごく行きたい!あすか、車出してくれるよね?」
彼女からの一言に、私は一瞬固まった。「車出して『くれるよね』?」――この当たり前のような言い方が、私の心にまた小さな棘を刺した。車は出すつもりだったけど、あまりにも当たり前のような言い方にモヤッとした。
「最近、ガソリン代がすごく高くてさ、車出しキツいんだよね」
そう遠回しに伝えた。車出しは当たり前じゃないんだよ、という気持ちをわかってほしかった。すると、サオリは平日の仕事中にもかかわらず、突然電話をかけてきた。
これで分かってくれた…?
「もしもし、あすか? ごめんね、仕事中なんだけど、ちょっと気になって電話しちゃった」
「サオリ、急にどうしたの?」
「LINE見たよ。なんか、あすかに車出してもらうのが当たり前になってたなって思って…。いつも本当にありがとう。やっぱり私、自力でお店まで行くね。電車で行ける場所だし、大丈夫だから」
電話口でそう言われ、私は正直うれしかった。やっと、私の気持ちを理解してくれたんだ、と。サオリの少し反省したような、申し訳なさそうな声を聞いて、これまでのモヤモヤがすっと消えていくのを感じた。
「気にしなくて大丈夫だよ。今回は車出すよ。ただ、いつも出せるわけじゃないからね〜」
「本当に?あすか、ありがとう。会えるの楽しみにしてるね!」
電話を切った後、私は安堵のため息をついた。これで、私たちの関係は健全になると思えてうれしかった。

