喧嘩しないけど、それが弱点でもあった
ただ、私たちの関係には一つだけ弱点があった。それは、お互いに感情の全てをぶつけられずにいたこと。初めての恋人同士だったからか、私たちはどこか「良い関係」を壊すことを恐れていたんだと思う。
喧嘩はほとんどしない。でもそれは、お互いが自分の奥底にあるネガティブな感情を飲み込んでいる証拠でもあったのかもしれない。特に健司は、ストレスを溜め込みやすい性格なのに、それを私に見せまいと無理をする節があった。
私が愚痴をこぼしても、じっと聞くばかりで特に何か助言をするわけでもなく静かな様子の健司。聞き上手なのかと思っていたけれど、実は私の愚痴にうんざりしていたのかもしれない。
「はっきり言えない」「マイナスの感情を出せない」そんなちょっとした“苦手”が崩壊のきっかけを生むなんて、この時の私は知る由もなかった。私たちが築き上げてきた幸せな日常は、実はガラス細工のように脆い土台の上にあったのだから―――。
あとがき:"見えない壁"が招く予兆
みちると健司の関係は、一見すると円満ですが、心の内を全て打ち明けられない「見えない壁」が存在していました。初めての真剣な相手だからこそ、関係を壊すことを恐れて本音を飲み込む。これは、多くの夫婦が陥りがちな罠です。
特にストレスを溜め込みやすい健司の性格と、みちるの「世話焼き」な部分が、お互いの負荷を増幅させているようにも見えます。この「壁」こそが、後に健司を誤った方向へ向かわせるきっかけとなるのですが、この時点では誰も知る由もないようです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

