マイナス２５度までの環境を体験できる極寒エリアの入り口
過酷な環境でも作業しやすいウェアを販売するワークマンの「WORKMAN EXPO 2025秋冬」が２０２５年９月１日、東京国際フォーラムで開催されました。秋冬物のウェアの展示会。実際に試着して極寒、豪雨、暖冬を疑似体験できると聞き、参加してきました。
日本赤十字看護大学との連携で開発したＸＳｈｅｌｔｅｒ
ワークマンは、日本赤十字看護大学の災害救護研究所と連携し、北海道北見市で冬に開催される「厳冬期災害演習」にも参加。災害の専門家の意見を聞きながら、過酷な環境でもより過ごしやすいウェアの研究を続けてきたそうです。
そのなかで開発されたのが、「着る断熱材」ＸＳｈｅｌｔｅｒシリーズです。生地の性能を示すコーナーでは、ホットプレートの上に３種類の生地を敷き、その上に氷を置いて経過をみるデモンストレーションをやっていました。右上の生地がＸＳｈｅｌｔｅｒ用に開発されたものですが、他の生地の上の氷が解け始めても、なかなか解けないことが視覚的にわかりました。
ホットプレートの上に生地を置き、その上に氷を載せるデモンストレーション。右上の生地がＸＳｈｅｌｔｅｒで使用しているもので、氷の解ける時間が一番長かった
この生地で作ったミトンを着用して、沸騰状態の電気ポットを触りました。素手では少し触れただけで熱くて手を引っ込めるのですが、ぎゅっと握っても熱さは感じませんでした。
マイナス１４度でも寒く感じない
次に入ったのが、極寒体験エリアです。自分のサイズに合ったＸＳｈｅｌｔｅｒシリーズのジャケットとズボンを選んで着用し、分厚い扉を開けて大型の冷凍庫を使った個室に入ります。
極寒体験ゾーンの個室にあった温度計。このときはマイナス１４度を示していた
５分程滞在しました。長時間いると体が冷えた可能性は否めませんが、体の芯が冷えていないせいか、手や顔はむき出しだったのにまったく寒さは感じませんでした。
暑さも断熱
今度は暖冬ゾーンへ。約２８度の温度になる部屋にＸＳｈｅｌｔｅｒのジャケットを着て入りました。
断熱材が入り、寒さから身を守るためのジャケットというイメージでしたが、暑さも伝わりにくいことが体感できました。
２８度に温度を上げる装置の前でＸＳｈｅｌｔｅｒのベストを着て機能を説明するワークマンの担当者。画面中央のサーモグラフィーの画面でベストの部分の温度が上がっていないことがわかる
最後に、１時間の降雨量が１３０ｍｍの土砂降りになる豪雨コーナーを体験。傘がなくても水が染みこんでこないため、湿った感じがないことも確認しました。
素材は２種類
ＸＳｈｅｌｔｅｒに使われている素材は断熱αシートと断熱βシートの２種類です。２種類を比較すると、２０２４年に開発されたαは湿気を逃がす働きに優れていて、２０２５年に開発されたβは断熱性が３０％アップし、伸縮性もαより高いそうです。両方の素材の特性に合わせた製品が作られています。
製品開発を統括するワークマン快適ワーク研究所の柏田大輔所長によると、αを使った製品は真冬の寒い地域、豪雪地帯でも対応できる厚手のものが多く、βを使った製品は薄手で１０月以降の朝晩が寒い時から着られる想定で作られているそうです。断熱性が高いため、暖冬にも強く、日中気温が上がっても衣服の内部の気温を一定に保つ効果もあるそうです。
断熱αシートを使ったＸＳｈｅｌｔｅｒ断熱αプレミアムGIGA PUFFダウンコート（９８００円）。暖かいダウン（羽毛）と組み合わせていて、マイナス１４度の室内で着用したが、寒さは感じなかった
断熱βシートを使ったＸＳｈｅｌｔｅｒ断熱βPREMIUM超透湿防水防寒ジャケット（９８００円）
柏田さんは、日本赤十字看護大学との連携で災害時のウェアの開発にあたって、当初は防災用に備蓄するものを念頭に置いていましたが、日赤から「普段から身につけられる製品を考えてほしい」と要望があったそうです。「日赤の方々は真夏のアフリカから極寒の北欧まで世界各地に行った経験があり、貴重なアドバイスがいただけた」と柏田さんは話しています。
ＸＳｈｅｌｔｅｒシリーズはジャケットやパンツの他、コート、シャツ、手袋、ネックウォーマー、ブランケット、寝袋などもあります。ジャケットは機能に応じて２９００円～９８００円の価格帯。パンツも２９００円～４９００円程度と価格もお手頃です。住んでいる地域、用途に応じて試してみるといいですね。
製品開発の経緯を語る快適ワーク研究所長の柏田大輔さん
＜防災ニッポン編集部＞