治りにくい関節の痛みに効く! 再生医療「PRP療法」の効果を医師が解説

治りにくい関節の痛みに効く! 再生医療「PRP療法」の効果を医師が解説

関節や腱の痛みに対して、運動療法やヒアルロン酸注射、手術以外の新たな治療として、患者自身の血液を活用するPRP療法(多血小板血漿療法)が注目を集めています。再生医療の一つとして広がりを見せるPRP療法は、どのような仕組みで痛みの改善に効果的なのでしょうか。また、PRP療法が適している人とそうでない人はいるのかも気になるところです。今回、PRP療法の特徴や適応、医療機関の選び方にいたるまで、つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック院長の中谷創先生に詳しく解説していただきました。

中谷 創

監修医師:
中谷 創(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)

防衛医科大学校病院や自衛隊中央病院などで医師としての経験を積み、自衛隊札幌病院 整形外科部長、自衛隊中央病院 整形外科医長などを経て、2022年12月、「つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック」を開院、院長となる。また、ラグビー日本代表チームドクターや、2021年東京オリンピック 七人制ラグビー 大会ドクターなど、スポーツドクターとしての経験も豊富。取得資格は、日本整形外科学会 整形外科専門医、日本整形外科学会 スポーツ医、日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会 スポーツドクター、Prehospital immediate Care in Sports Level 2。

関節や腱の痛みとは? 従来の治療の限界とその背景

関節や腱の痛みとは? 従来の治療の限界とその背景

編集部

はじめに関節や腱に起こる代表的な疾患や痛みについて教えてください。

中谷先生

関節の痛みで多く見られるのが、加齢や使いすぎによって進行する変形性関節症です。また、腱の付着部に炎症が起こる腱付着部炎や、腱そのものに炎症が起きる腱炎、腱の損傷も代表的な症状です。いずれも慢性的な痛みや可動域制限を引き起こすことがあり、日常生活やスポーツ活動に影響を与えます。痛みの原因は一人ひとり異なるため、疾患名だけでなく背景にある姿勢や動作のクセ、生活習慣などにも着目することが重要です。

編集部

一般的には、痛みに対してどのような治療が用いられていますか?

中谷先生

まずは薬物療法として、痛み止めや消炎鎮痛薬の内服・湿布が用いられます。あわせて、関節の痛みに対してはヒアルロン酸注射が一般的です。また、筋力や柔軟性を回復させるためのリハビリテーションも基本的な治療法の一つです。重度の症状や機能障害が強い場合には、関節鏡手術や人工関節置換術が検討されることもあります。治療の選択は疾患の程度だけでなく、年齢や生活背景、患者さん本人の希望も考慮して決められます。

編集部

通常の保存療法では十分な効果が得られにくいケースの例を教えてください。

中谷先生

リハビリテーションや薬物療法などの保存療法に取り組んでも、十分な効果が得られない場合にはいくつかの要因が考えられます。特に、自分の体の状態や病態に関心を持たず、医療者任せで治療を受けている方は、改善までに時間がかかる傾向があります。また、損傷が進行していたり、身体の使い方に強いクセがあったりする場合、単なる保存療法では対応が難しくなります。こうしたケースでは、再生医療や手術的治療の選択肢も検討されることがあります。

PRP療法とは? 自分の血液で治す再生医療の考え方

PRP療法とは? 自分の血液で治す再生医療の考え方

編集部

PRP療法とは、どのような仕組みで痛みの改善を目指す治療法なのでしょうか?

中谷先生

PRP療法は日本語では多血小板血漿療法と呼ばれ、患者さん自身の血液から血小板を高濃度に抽出し、患部に注射する再生医療の一つです。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、炎症の軽減や痛みの改善につながるとされています。採血と注射のみで完結する点や、副作用のリスクが極めて低いことから、手術を避けたい方や身体への負担を抑えたい方にも選ばれやすい治療法です。自分の血液を用いるため、安全性が高い点も特徴です。

編集部

PRP療法が適応となる症状や疾患には、具体的にどのようなものがありますか?

中谷先生

PRP療法は、肩・膝などの関節の痛みや腱炎、靱帯損傷、テニス肘やアキレス腱炎といった運動器疾患など幅広く用いられます。特に、保存療法では十分な効果が得られず、かといって手術に踏み切るほどではないという中間的な段階の患者さんに適しています。運動や仕事による慢性的な負荷が痛みを引き起こしている場合にも有効で、リハビリテーションと併用することでより高い改善効果が期待できます。

編集部

PRP療法はどのような効果が期待できますか? 実感できるまでの期間はどのくらいなのか教えてください。

中谷先生

注射後1〜2週間ほどで症状の改善を実感される方もいますが、一般的には2〜4週間程度で徐々に効果を感じ始めることが多いとされています。使用するキットの種類によって血小板の濃度や抽出量が異なり、効果の現れ方にも個人差があります。濃縮率の高いキットでは1回の注射で済む場合もあれば、低濃度のものでは2〜3回の施術をおこなうケースもあります。短期間での即効性よりも、中長期的な組織回復を目指す治療といえます。

配信元: Medical DOC

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