記憶を定着させるために使っていたテクニック
勉強は記憶と思考を使わなければならないので、映像記憶が役に立つ場合、役立たない場合があります。ほぼ独学でTOEICなどを勉強してきたので、やり方を軽くお伝えしておきます。1.読むだけで終わらせない
覚えるにあたって、読むだけで終わらせているという方、意外と多いような気がします。特に外国語では、読むだけで完璧に覚えるのは、不可能なのではないか、と個人的には思っています。
読む、書く、(絵など)描く、聞く、喋る&呟く。目、耳、手、口、五感を使うことで、記憶は定着しやすくなります。
ノートやデジタルメモ、音声教材、五感を刺激して覚えていきましょう。最近はYouTubeやオーディオブックなど、教材が充実していますよね~。いい時代です。
2.繰り返すこと
一度で覚えられるならそれで問題ないのですが、たいていの人は覚えられないし、何より人間というのは忘れてゆきます。
一度で完璧を目指すのではなく、しつこくリピートすることが大事です。ちなみに私は英語の学習に取り組むときに、必ず大学受験で使っていた単語帳を1からおさらいします。必ずどこか忘れていますからね。
3.思い出せたら、定着のサイン
セリフ、英語、公式……、「手元に台本や教科書がなくても脳内で再生できること」を覚えた、と私は定義しております。
実際、TOEICや資格試験で、「あの公式を使えばいいはずなのに思い出せない……!」「この単語の意味、なんだっけ?」となったこと、誰しも経験があるはず。補助なしで頭の中に出せれば、きっと本番でも大丈夫です。
ちなみに、これはビジネスの場で、人様のお名前を覚えるときにも応用しています。名刺の漢字やお顔が結びついていれば、次回会ったときに礼を失するリスクはだいぶ減ります(ちなみに、顔と数字を覚えるのは割と苦手なほうです)!
「執念深い」と言われてしまうことも。記憶力の光と闇
天才子役などと恐れ多い呼び名で呼んでいただいたのも記憶力ゆえでした。ただ、記憶力が良いとはイコール忘れられない、でもあります。先ほどの48点のテストじゃないですが、嫌なことを抱え込んでしまう、脳に焼き付けてしまうというデメリットがあるんですね。また、記憶がいつまでも鮮明なばかりに、周りの人から「しつこい」「執念深い」と言われてしまった経験もあります。
私の中ではまだ強烈な痛みだというのに、言ったほうはすっかり忘れている。だから、執念深い、粘着質だと一蹴されました。今だったら「こうおっしゃいましたよ」と丹念に再現して差し上げるのですが、当時はまだかよわき女の子だったのです。ほろり。
大人になって記憶力が多少落ち、性格も変わり、きれいさっぱり忘れてしまうこともできるようになりました。
芝居をやるときには、感情の引き出しは重要です。多分、“俳優の私”が勝手に奥深くにしまっているのかな、と時折思います。
人は、忘れられたときに、本当の死を迎えるといいます。
何度も言いますが、たくさんの人を見送ってきた私です。思い出をたくさん覚えていられるのは幸せなことであり、記憶力は、嬉しい贈り物だといえるでしょう。
ただし、恥の記憶は出来る限り早めに抹消したいものです……。
<文/宇野なおみ>
【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中

