摂食障害とは、心と身体の両方に影響が及ぶ病気を総称した呼び名です。
異常なほど体型への執着・見た目・食べ過ぎたり嘔吐したりを繰り返す行動などに目が行きがちとなりますが、その背景には心理的な苦悩を抱えている場合が多いです。
今回は、摂食障害の受診の目安や治療方法についてもご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「摂食障害」を発症しやすい人の特徴・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 直(医師)
著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法
摂食障害の受診方法・治療

摂食障害と診断されるポイントは何ですか?
3ヶ月の間において以下のような症状がみられる場合、摂食障害と診断される可能性が高いでしょう。必要なカロリー摂取を抑える
食べたあと嘔吐や下剤などを乱用し排出
自身でコントロールできないほど食べてしまう
「食」において異常な行動を行うことが摂食障害と診断される目安になりますが、自身が自覚していない・自覚していても隠す傾向にあるため、周りも気がつきにくい場合があります。
以前に比べて痩せて見える・食べたあとすぐにトイレに行く・夜中に起きて大量に食べているなどの行為を見かけた場合、摂食障害に陥っている可能性は十分に考えられるでしょう。
何科を受診すべきですか?
まずは一般外来(内科)を受診し、身体的に異常がないか検査を行いましょう。場合によっては心療内科や精神科の受診も必要となるでしょう。摂食障害は、心と身体のサポートを行っていくことが重要です。身体や心にさまざまな症状がみられる前に、早期の受診が望ましいです。とくに拒食症にみられる低体重をはじめ、脈拍数の減少・低血圧・貧血・意識障害などが併発して起こる危険性もあるからです。
本人が摂食障害だと認識していない場合、無理に医療機関へ行くことは精神面で難しい点ですが、生命の危機に関する事態を招く恐れがあるためなるべく早い受診がよいでしょう。
摂食障害の治療方法を教えてください。
拒食症でも過食症でも、その患者さんの症状・症状の重さ・併発している病気などにより治療方法は異なります。神経性やせ症では、根本的に改善を行う薬物療法は残念ながら今のところまだ開発されていません。低体重は貧血や骨粗鬆症などの合併症が引き起こされやすいので、心理療法よりもまずは栄養摂取を優先的に行っていきます。
しかし、無理な栄養摂取は逆効果の場合もあります。患者さんの体重が増えることなどの不安に共感しながら、体重が増えることのよい点を伝えながら指導していく方法をとっていくことがよいでしょう。
過食症では、抗うつ薬を中心に薬物療法が有効的です。心理療法では、専門家による支持的精神療法や認知行動療法などがあります。
拒食症よりも特定の考え・行動・対人関係などが関係しているため、薬物と併用していくことで高い治療効果が期待されています。
摂食障害で入院は必要ですか?
摂食障害で入院を必要とするケースは拒食症となり、過食症での入院を行うケースは稀です。拒食症では栄養状態が極端に悪化した場合や、心不全・腎不全・電解質異常などの重篤な合併症が起こった場合に、生命の危機管理や栄養状態の改善を目的とした入院を行います。入院では経口栄養摂取や困難な場合は経鼻栄養摂取が行われ、目標体重を細かく設定し無理なく確実に体重を増やしていく方法をとります。
患者さん本人が治療の重要性を把握できない場合、家族の協力のもとで治療を行っていく形をとらざるをえません。栄養状態が改善した時点で、外来へ戻し治療を続けていきます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
摂食障害には拒食症や過食症といった、さまざまな症状があります。どれも異常な体型の思考や食へのこだわりがある状態です。しかし、摂食障害を患っている方の背景には深刻で辛い心情があります。もし周りで摂食障害と疑わしい症状のある方がいる場合、まずは寄り添ってあげてください。
摂食障害は、患者さん本人ではどうすることもできない症状です。治療を始めたらすぐに拒食や過食が治ることは少なく、根気よく治療を行う必要があります。患者さん本人の頑張りも必要ですが、周りのサポートも重要となってきます。
編集部まとめ

摂食障害は若い世代に多いですが、誰にでも起こり得る病気のひとつです。社会に出た大人でもストレスや対人関係がきっかけとなり、摂食障害を引き起こす可能性はあるでしょう。
周りになかなか相談しづらいことではありますが、ひとりで改善していくことは難しい病気でもあります。
周りを頼り、早期に医療機関を受診し、ほかの病気を引き起こす前に改善へと導いていきましょう。
参考文献
摂食障害(厚生労働省)

