障害者就労の新たな形になるか? 全員が発達障害当事者のメイドカフェ

障害者就労の新たな形になるか? 全員が発達障害当事者のメイドカフェ

 大阪市内に「経営者も、そこで働くスタッフも発達障害当事者」というユニークなメイドカフェ「スターブロッサム」があります。

先日、そこの代表にインタビューしてきましたが、なかなかによく考えられているビジネスモデルであり、新たな障害者の就労スタイルとして参考になることも多いと感心しましたので紹介します。

世の中には、社会福祉協議会やNPO法人、障害福祉サービス事業者が運営する「障害者が働く飲食店」があります。

しかし、それらの多くは「飲食店としての質」よりも「障害者に就労の機会を与える」という点が重視されているのが現実です。

したがって、来店する人はどうしても障害福祉に関わっている人や障害者を支援したいと考える人に限定されてしまい、集客力・採算性などの面で課題がありました。

一方、メイドカフェであれば、障害福祉や障害者支援に何の関心が無い人でも利用者として見込めるため、経営面では有利と言えます。

そして、発達障害当事者とメイドという仕事の相性の良さです。

これは代表自身が様々な仕事を経験する中で実感したそうです。

メイドカフェは一種の非現実空間です。
現実にはあり得ないような名前がついているメイドや、年齢などのキャラクター設定が現実離れをしているメイドも大勢います。

いわゆる「おっちょこちょい」「不思議ちゃん」などのキャラクターを売りにしているメイドも少なくありません。

そして、一概には言えませんが、発達障害当事者も対人コミュニケーションや特定の作業が不得手だったりして、周囲からは「変わった人」などというレッテルを貼られているケースもあります。

一般的な仕事であれば不利に働くこともあるこうした特性がメイドであればキャラクターとして活かせることもあります。

現在、店舗にメイドとして登録しているスタッフは20名ほど。

中には男性もいて「執事」として店にでます。

また「接客がどうしても苦手」という人は、メッセージ動画や歌・楽器演奏などのコンテンツを自分で制作して販売する「在宅メイド」という働き方も用意しています。

スタッフ募集はSNSを中心に行っていますが、中には「自分にも発達障害があり、興味があって来店してみたが、実際に働いているメイドを見て『自分もできるのではないか』と考えて入店する」というケースもあり、十分な数は確保できているとのことです。

就労継続支援などの障害福祉サービス事業所としての認定を受けていないことも大きな特徴です。

この理由について代表は「障害福祉事業所になると、私とスタッフの間に『経営者と事業所の利用者』という関係ができてしまいます。あくまでも『同じ障害を抱える仲間』という立場でいたいと考えました」と語ります。

このメイドカフェはメディアで採り上げられる機会も増えており、今後同様の店舗が出てくることも考えられます。

それに対して代表は「当店と同じような考え方でやりたいという人がいれば、フランチャイズではありませんが何らかの形でサポートしていくことも考えています」とコメントします。

しかし、既存の障害福祉サービス事業所が「メイドカフェをやりたい」と考えて参入することには明確に反対しています。

メイドとして働くことに対して当人の意思や理解が不十分なまま、事業所側の都合で「メイド服を着させればいい」と考えているケースが多いと思われるのがその理由です。 

メイドという仕事は、現実的には性的対象として見られることもあるなど、さまざまな苦労もあるとか。

「メイドとして働きたい」という人には、そうした点もしっかりと説明し、理解をしてもらった上で「自分の意思」として働いてもらうことが重要だそうです。


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