●「16歳未満と知っていた場合」は罪に問われる可能性
──少女は当時12歳でした。性的サービスを受けたとされる「客」は罪に問われないのでしょうか。
16歳未満と性交などをした場合、たとえ合意の下であったとしても「不同意性交等罪」が成立すると規定されています(刑法177条3項)。
性的サービスの内容にもよりますが、刑法177条1項の定める性交などにあたる場合には不同意性交等罪、わいせつな行為の場合には「不同意わいせつ罪」が成立する可能性があります。
ただし、犯罪の成立には「故意」が必要とされており、一般的に「犯罪事実の認識・認容」を指します。サービスを受けた客が、少女の年齢が16歳未満であると認識・認容していた場合には、故意が認められて、これらの罪が成立することになります。
●客が「児童買春罪」に問われる条件
──客は児童買春の罪には問われないのでしょうか。
児童買春禁止法違反(児童買春罪)も成立する可能性があります。
児童買春禁止法では、児童買春をした者は、5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処すると規定されています(同法4条)。
児童買春とは、18歳未満に対償を供与し、またはその供与の約束をして、性交等をすることをいいます。
性交等とは、性交や性交類似行為をしたり、自己の性的好奇心を満たす目的で児童の性器を触る、もしくは児童に自己の性器を触らせることを指します。
この事件では、客は料金を支払って少女に性的サービスを受けていたと考えられるため、サービスの内容によっては「児童買春罪」が成立します。
児童買春罪は、不同意性交等罪と異なり、相手が18歳未満であることを認識していれば成立するため、より広い範囲で適用される可能性があります。
また、対価の授受があることが明確であれば、不同意性交等罪よりも立証しやすいという特徴があります。
【取材協力弁護士】
寺岡 慎太郎(てらおか・しんたろう)弁護士
法政大学法学部、同大学院法務研究科を修了後、第二東京弁護士会に弁護士登録。
弁護士業の傍ら、同大学院法務研究科にて支援弁護士として憲法、行政法を教える。
主な取扱い分野は離婚・男女問題、ネットトラブル、刑事事件。愛車はマツダRX-8。最近、油物を食べるのがキツくなってきた。
事務所名:あかがね法律事務所
事務所URL:https://culaw.jp/

