味噌には基本的な栄養素だけでなく、健康維持に関わる機能性成分が豊富に含まれています。特に大豆イソフラボンと抗酸化物質であるメラノイジンは、さまざまな健康効果との関連が研究されている注目の成分です。これらの機能性成分がどのような働きを持ち、身体にどのような影響を与える可能性があるのかを科学的知見に基づいて説明します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
味噌に含まれる機能性成分の特徴
味噌には栄養素以外にも健康維持に関わる機能性成分が含まれており、これらの成分が味噌汁の健康効果に寄与していると考えられています。イソフラボンと抗酸化物質の働きについて理解することが重要です。
イソフラボンとその働き
大豆イソフラボンは植物エストロゲンとも呼ばれ、女性ホルモンであるエストロゲンと類似した化学構造を持ちます。発酵過程でアグリコン型に変化したイソフラボンは、非発酵の大豆製品に比べて体内での吸収率が高いとされています。
イソフラボンは骨密度の維持に関与する可能性が示唆されています。エストロゲン様作用により骨からのカルシウム流出を抑制し、骨粗鬆症のリスク低減に寄与する可能性があります。また血中コレステロール値の改善にも関わるとされ、動脈硬化予防の観点からも注目されています。
更年期症状の緩和についても研究が進められています。エストロゲン減少に伴うホットフラッシュや気分の変動に対して、イソフラボンが穏やかな調整作用を示す可能性が報告されています。ただし個人差が大きく、効果の程度は体質や腸内環境によって異なります。
抗酸化物質とメラノイジン
味噌の褐色はメラノイジンと呼ばれる物質によるもので、これは発酵熟成過程で生成される抗酸化物質です。メラノイジンは活性酸素を除去する働きを持ち、細胞の酸化ストレスを軽減する可能性があります。この抗酸化作用は老化や生活習慣病の予防に関わる可能性が指摘されています。
発酵食品に共通する特徴として、発酵微生物が産生する多様な代謝産物が含まれます。これらの成分の中には抗菌作用や免疫調整作用を持つものもあり、総合的な健康維持に寄与すると考えられています。ただしこれらの機能性成分の効果は単独で評価するのではなく、食事全体のバランスの中で捉える必要があります。
まとめ
味噌汁は日本の伝統的な食文化の中で受け継がれてきた栄養価の高い食品であり、適切に摂取することで多様な健康効果が期待されます。発酵によって生成される機能性成分、バランスの良いアミノ酸組成、具材による栄養素の補完は、現代の栄養学の観点からも評価される要素です。一方で塩分濃度への配慮や特定の疾患を持つ方の制限事項を理解し、個々の健康状態に応じた適切な摂取方法を選択することが重要です。気になる症状がある場合や持病がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士に相談し、ご自身に適した食事パターンを確立してください。
参考文献
【厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【国立がん研究センター‐がん情報サービス 科学的根拠に基づくがん予防】
【国立循環器病研究センター‐循環器病情報サービス 食事と循環器病】【日本高血圧学会‐高血圧治療ガイドライン2019】

