脳動脈瘤の主な原因
脳動脈瘤がなぜできるのか、その原因はすべてが解明されているわけではありません。しかし、いくつかの要因が組み合わさって発生リスクが高まると考えられています。
先天的要因(遺伝的素因)
生まれつき血管の壁が弱いことが、動脈瘤の形成に関わっているとされています。動脈壁は通常、3つの層でできていますが、脳の血管が枝分かれする部分では、この層の一部が弱くなりがちです。
そこに、体質的に血管の結合組織(コラーゲン)に異常があるなど、遺伝的な要因が加わると、さらに血管の壁がもろくなり、動脈瘤ができやすくなります。事実、親子や兄弟で脳動脈瘤やくも膜下出血を発症するケースも報告されています。
また、多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患を持つ人は、若いうちから動脈瘤を発症することがあります。家族にくも膜下出血を起こした人が複数いる場合や、遺伝性疾患がある場合は、一度脳ドックで検査を検討してみるのもよいでしょう。
高血圧・動脈硬化
高血圧は、脳動脈瘤の形成と破裂、両方にとって大きなリスク因子です。血圧が高い状態が続くと、血管の壁に常に強い圧力がかかり、血管が徐々に劣化して膨らみやすくなります。
また、動脈硬化も血管の壁をもろくし、動脈瘤を作る原因となります。高血圧や動脈硬化のある人は、そうでない人に比べて脳動脈瘤を持つ割合が高いことがわかっています。
高血圧は、脳動脈瘤だけでなく、脳出血や脳梗塞など、さまざまな脳血管の病気の原因となります。日頃から血圧を適切に管理することは、脳動脈瘤の予防にもつながります。
喫煙・過度の飲酒
喫煙は、脳動脈瘤の発生と破裂の両方に関わる、最も大きなリスク因子の一つです。タバコに含まれる有害物質が血管の壁にダメージを与え、動脈瘤の形成を促進します。
喫煙者は、タバコを吸わない人に比べて、くも膜下出血を起こす割合が非常に高いことが多くの研究で示されています。動脈瘤が見つかった方は、すぐに禁煙することをおすすめします。
大量の飲酒も脳動脈瘤破裂のリスクを高めると考えられています。お酒を飲みすぎると一時的に血圧が上がったり、長期的に高血圧になったりして、動脈瘤のリスクを高めます。
頭部外傷(頭のけが)
強い頭の打撲や事故などによって、血管の壁が直接傷つき、外傷性脳動脈瘤が形成されることがあります。これは通常の動脈瘤に比べて頻度は低いものの、一度できると破裂率が非常に高いといわれています。
けがをした直後ではなく、数日〜数週間かけて徐々に膨らんでいき、破裂することもあります。頭を強くぶつけた後、しばらくしてから突然、脳出血を起こした場合は、外傷性動脈瘤の可能性も考えられます。
感染症(感染性動脈瘤)
細菌感染が原因で動脈瘤ができることもあります。心臓の病気などで細菌が血流に乗って脳の血管壁に感染すると、その部分がもろくなり、動脈瘤が形成されます。
これは感染性脳動脈瘤と呼ばれ、通常の動脈瘤よりも形がいびつで、破裂の危険性も高いとされています。
脳動脈瘤ができやすい人の特徴
脳動脈瘤は誰にでも起こりうる病気ですが、統計的にみてできやすい人の傾向が知られています。
中高年、女性
脳動脈瘤は、中高年、特に50〜60代で発見されることが増えます。脳ドックのデータでも、40代では約3.6%だった発見率が、50代で5.5%、60代では9.2%に上昇します。
また、女性は男性よりも脳動脈瘤を持つ割合が高いことがわかっています。これは、女性ホルモンが血管の壁を守る働きをしているためで、閉経後にその効果が低下し、中高年女性で動脈瘤が増えると考えられています。くも膜下出血も、女性のほうが男性より1.5〜2倍ほど多く発症するといわれています。
高血圧や喫煙などの生活習慣
高血圧と喫煙は、動脈瘤の二大リスク因子です。そのため、高血圧の人や長年タバコを吸っている人は、動脈瘤ができやすい傾向にあります。
また、糖尿病や脂質異常症など、動脈硬化を促す生活習慣病がある人もリスクが高まります。一方、適度な運動習慣がある人は、動脈瘤の発生が少ないという報告もあります。
家族歴・遺伝的要因
家族に脳動脈瘤やくも膜下出血を経験した人がいる場合、動脈瘤を持つ割合が高くなります。特に、親や兄弟など近親者に複数の患者がいる家系では、遺伝的な体質が影響している可能性が考えられます。
その他の要因
日本やフィンランドなど特定の地域でくも膜下出血が多いという研究結果があり、日本人にはややリスクが高いともいわれています。また、遺伝性疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の患者さんは、脳動脈瘤を持つ割合が高いため、定期的な検査が推奨されます。

