脳動脈瘤の検査法
脳動脈瘤の診断には、主に画像検査が用いられます。
頭部CT検査
頭部CT検査は、X線を使って体の断面を撮影する検査です。急な激しい頭痛でくも膜下出血が疑われる場合、まずこの検査が行われます。撮影は数分で終わり、出血があれば高い確率で確認できます。動脈瘤そのものは、通常CTでは直接は映りませんが、くも膜下出血の原因を調べるために不可欠な検査です。
頭部MRI検査
MRI(磁気共鳴画像)検査は、磁力と電波を利用して脳の詳しい画像を撮影します。放射線被曝がないのが特徴です。特に、MRA(磁気共鳴血管画像)検査は、造影剤を使わずに脳の血管を鮮明に映し出すことができるため、脳ドックなどで未破裂脳動脈瘤を見つけるために広く使われています。
脳血管撮影検査(カテーテル検査)
脳血管造影は、足の付け根などから細い管(カテーテル)を血管に通し、脳の動脈まで進めて造影剤を注入しながらX線撮影する検査です。これは、動脈瘤の診断において最も正確な検査とされています。
数ミリの小さな動脈瘤やその形状まで詳しくわかるため、治療方法を決める際に行われます。
脳動脈瘤の主な治療法
脳動脈瘤の治療は、大きく分けて経過観察、開頭手術、血管内治療の3つがあります。動脈瘤の大きさや場所、患者さんの年齢や健康状態によって最適な治療法が選ばれます。
経過観察
経過観察とは、動脈瘤が見つかったものの、現時点では破裂するリスクが低いと判断された場合に、定期的な検査で様子を見ることです。たとえば、小さな動脈瘤(5mm未満)や、手術をするリスクのほうが高いと判断された場合に選択されます。
経過観察中は、半年から1年ごとにMRIなどの検査で、動脈瘤の大きさや形に変化がないかを確認します。
開頭手術(開頭クリッピング術)
開頭クリッピング術は、頭蓋骨を開けて、脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟み、血液の流れを止める手術です。
この方法は古くから行われてきた治療法で、今でも動脈瘤の場所によっては第一選択となります。破裂した動脈瘤にも、緊急手術でこのクリップをかけて止血します。
コイル塞栓術(血管内治療)
コイル塞栓術は、細い管(カテーテル)を血管に通して、動脈瘤の中に金属製の柔らかいコイルを詰める治療法です。血管内から治療を行うため、頭を開けずに済む低侵襲な方法です。
現在では、小さな動脈瘤や手術が難しい場所にある動脈瘤に対して、第一選択となることが多くなっています。
「脳動脈瘤の症状」についてよくある質問
ここまで脳動脈瘤の症状を紹介しました。ここでは「脳動脈瘤の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脳動脈瘤は自然になくなることはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
一度できた脳動脈瘤が、治療せずに自然に消えることは、まずありません。ごくまれに血栓ができて動脈瘤が閉塞・消失したという例も報告されていますが、非常に珍しいケースです。ほとんどの動脈瘤は、放置するとそのまま残るか、時間とともに大きくなる可能性があります。「小さいから自然に治るだろう」と安易に考えず、専門医に相談して、経過観察や治療の計画を立てることが重要です。
脳動脈瘤を発症したらやってはいけないことを教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
動脈瘤が見つかった場合にまずやめるべきことは喫煙です。タバコは、動脈瘤を成長させたり破裂させたりする大きなリスクです。また、高血圧を放置することもいけません。血圧が高いままだと、動脈瘤に常に負荷がかかってしまうため、適切に治療して血圧をコントロールしましょう。
さらに、過度な飲酒も控えましょう。極端な筋力トレーニングや、便秘で強く「いきむ」といった動作は、一時的に頭の血圧を上げるため注意が必要です。
脳動脈瘤の好発年齢について教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
脳動脈瘤は、30〜60代で多く発見されます。特に50代前後が一つのピークで、動脈瘤の発見率や破裂率がこの年代で高まります。また、女性は男性よりも10年ほど早くリスクが上昇する傾向があります。これは、女性ホルモン低下の影響で、50代以降にくも膜下出血が増えるためです。
中年以降(特に50〜60代)の方は、脳動脈瘤に注意を払う必要があります。もし、40代でも高血圧や喫煙といったリスク因子がある場合は、検査を検討する価値があるでしょう。
編集部まとめ
脳動脈瘤は、破裂しない限りほとんど自覚症状のない「サイレントキラー」ですが、一度破裂すると命に関わる深刻な状態を引き起こします。
未破裂の動脈瘤は無症状で経過し、痛みもありません。しかし、「突然の激しい頭痛」や吐き気、意識障害は、動脈瘤破裂(くも膜下出血)の典型的なサインです。特に「今まで経験したことのない頭痛」に襲われたら、ためらわずに救急車を呼んでください。
また、大きな未破裂動脈瘤が神経を圧迫すると、まぶたが垂れる(眼瞼下垂)や物が二重に見える(複視)などの神経症状が現れることがあります。このような症状は、動脈瘤が破裂寸前である可能性を示唆しているため、速やかに脳神経外科を受診することが大切です。
脳動脈瘤の発症リスクを高める要因には、高血圧、喫煙、遺伝的な体質などがあります。これらのリスク因子がある方は、禁煙や血圧管理、適度な運動を心がけることで、リスクを減らすことが期待できます。
現代医療では、未破裂の動脈瘤は予防的に治療することが可能です。破裂した動脈瘤も、適切に対処すれば命を救うチャンスがあります。
脳動脈瘤は決して珍しい病気ではありません。「自分には関係ない」と思わずに、リスクの高い方は一度検査を検討してみるなど、賢明な対策をとりましょう。何よりも大切なのは、「おかしいな」と感じたときに、すぐに専門医に相談することです。
「脳動脈瘤」と関連する病気
「脳動脈瘤」と関連する病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経科の病気
くも膜下出血脳出血脳梗塞脳動静脈奇形
脳血管攣縮
水頭症
もやもや病循環器科の病気
高血圧症
細菌性心内膜炎
遺伝性疾患の病気
多発性嚢胞腎Ehlers-Danlos症候群
Marfan症候群
脳動脈瘤が破裂すると、命に関わるような重篤な病気を引き起こすことがあります。また、高血圧などの病気が脳動脈瘤の発生や破裂のリスクを高めることもあります。
「脳動脈瘤」と関連する症状
「脳動脈瘤」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
激しい頭痛
ものが二重に見える
片方のまぶたが下がる
視野が狭くなる
視力が低下する
めまい吐き気嘔吐意識障害
未破裂の脳動脈瘤は無症状のことが多いですが、動脈瘤が大きくなると周囲の神経を圧迫して症状が現れることがあります。また、破裂した場合は特有の重篤な症状を呈します。
参考文献
脳卒中治療ガイドライン 2021 [改訂2025]
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