肺動脈の血圧が原因不明で上昇する「原発性肺高血圧症」について詳しく解説します。
原発性肺高血圧症は、2009年10月より「肺動脈性肺高血圧症」という疾患名に変更されました。
この病気は、肺に血液を送ろうとしても送る先の圧が高いため心臓に負担がかかってしまい、心不全を引き起こしてしまうことで息苦しさ・疲れやすさ・咳などの症状が引き起こされます。
また、現在は完治する治療法が見つかっておらず国が定める難病に指定されています。
今回は肺動脈性肺高血圧症の治療方法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「原発性肺高血圧症」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
原発性肺高血圧症の治療方法

原発性肺高血圧の治療方法を教えてください。
治療には、肺の血管を広げて血流を良くするお薬を使います。この方法を肺血管拡張療法といいます。お薬の効果により心臓の負担が軽減され、ある程度は症状に改善がみられます。また、必要に応じて在宅酸素療法を適用することもあります。しかし、症状が進んだ状態でお薬を開始してもあまり効果が期待できません。そのため、早期発見が重要な病気といえます。
また肺血管拡張療法の他にも、利尿薬や酸素療養を行うことがあります。しかし、これらでも改善がみられない場合には外科的手術による肺移植の適用となるでしょう。
原発性肺高血圧症は完治しますか?
肺動脈性肺高血圧症は難病です。治療によりある程度は症状が改善できても、病気が完治するわけではありません。しかし、近年では肺動脈の血流をよくするためのお薬の開発が進んでおり、病気の進行が抑えられるようになってきています。それに伴い、予後も改善傾向にあります。
ただ、症状が進んだ状態で治療を開始しても改善が見込めないことや急激に悪化していくこともあるため注意が必要な病気です。
治療後、日常生活に影響はありますか?
過労やストレスにより肺静脈性肺高血圧症の症状が悪化することがあります。そのため、適度の休息をとることやストレスを溜めないように心がけることが大切です。それ以外にも、喫煙や標高の高い場所への旅行により肺動脈圧が上がってしまうことがあるため注意しましょう。もし旅行などへ出かける際には、かかりつけ医に相談してください。
また、日常生活での運動制限や食事制限の必要度合いは患者さんによって様々です。身体に負担がかからないように、主治医の指示には従うように心がけましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
「原因不明の完治しない病気」と聞くと不安に思う人も多いことでしょう。しかし、早期に治療を開始すれば、息苦しさ・疲れやすさなどのつらい症状をある程度は抑えることが可能です。また、肺動脈性肺高血圧症は膠原病やHIV感染症などと関連していることもあります。それらの疾患を患っている場合には、すみやかに適切な治療を受けることも重要です。
肺動脈性肺高血圧症は近年、薬剤の開発により予後がずいぶんと改善しています。不安に思うことも多いでしょうが、気になることは専門機関へご相談ください。
編集部まとめ

今回は原因不明で引き起こされる原発性肺高血圧症について解説しました。原発性肺高血圧症は2009年10月より疾患名が肺動脈性肺高血圧症へ変更になりました。
今のところ発症原因は明らかになっていないものの、遺伝子が関連していることが確認されています。
主な症状は労作時の息苦しさ・疲れやすさ・胸痛などですが、初期は自覚できる症状がないことも特徴です。
また、以前に比べて予後は改善していますが、突然死の可能性がある危険な病気でもあります。
家族に肺動脈性肺高血圧症を患っている人がいる場合や日常生活で息苦しさなどを感じるような場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
参考文献
肺動脈性肺高血圧症(難病情報センター)
呼吸器の病気(日本呼吸器学会)

