膿胸とは、その名の通り、胸腔内に膿が溜まる病気のことです。膿胸は細菌感染により引き起こされ、時に呼吸困難を引き起こすこともあります。
また、膿胸には急性膿胸と慢性膿胸の2種類があります。特に、急性膿胸では急激に悪化するリスクが高いため、早期に治療を開始することが重要です。
一方、慢性膿胸の進行は比較的緩やかですが、状態によっては開胸手術が必要となることもあります。
どちらにしても膿胸は再発しやすい病気ですので、適切な治療を受け、生活習慣に気をつけることが重要です。
今回は膿胸(のうきょう)の予後について解説します。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
膿胸(のうきょう)の予後

生存率は低いのでしょうか?
急性膿胸の場合、早期に適切な治療を受けられれば生存率は高いというデータがあります。慢性膿胸の場合、手術がハイリスクとなる可能性はあるものの、最適な処置を受けられれば回復は見込めるでしょう。
しかし、治療が遅れて急激に症状が進行した場合には、敗血症を引き起こすことがあるため危険です。
敗血症により様々な臓器が障害されショック状態に陥れば、命を脅かすリスクが高まります。
さらに、症状が落ち着いたのちに慢性膿胸に移行した場合、一度回復しても再発することが多いのも特徴です。
また、慢性膿胸が長引くことにより悪性リンパ腫を発生することもあります。
さらに、慢性膿胸では発熱や胸痛などの症状がみられず、呼吸障害のみ現れることも多いです。
呼吸時に少しでも違和感があれば、かかりつけ医に相談しましょう。
再発することはありますか?
膿胸は感染が完全に治癒せずに慢性膿胸へ移行することや再発することがあります。再発の主な原因は、細菌が胸腔内に残存すること・再感染・免疫力の低下などです。
特に、慢性的な基礎疾患を患っている人や免疫力が低下している人は膿胸の再発リスクが高くなるため注意しましょう。
再発の早期発見・早期治療を行っていくことが重要ですので、治療後にも定期的な検査を受けるようにしてください。
また、飲酒や喫煙の習慣がある人も膿胸になりやすいといわれています。飲酒や喫煙は控え、規則正しい生活を心がけましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
膿胸は、感染が原因で胸腔に膿が溜まる病気のことです。発熱や咳など風邪のような症状で始まるため、放置してしまう人も少なくありません。
しかし、膿胸は早期に治療を開始することが何よりも重要です。発熱や咳に加えて、胸の痛みや息苦しさを感じるような場合には、すみやかに医療機関を受診するように心がけましょう。
また、膿胸は再発しやすい病気でもあります。一度膿胸の治療が終了した場合でも、定期的な検査を受けておくと安心です。
編集部まとめ

今回は、細菌感染により胸腔内に膿が溜まってしまう「膿胸」について、お話ししました。
膿胸は、胸腔内に感染が広がることで発熱・咳・呼吸困難・胸痛などがみられる病気です。急激に悪化すれば、敗血症を引き起こすことがあるため注意が必要です。
発熱や咳といった風邪のような症状だからといって軽視せず、少しでも胸の痛みや息苦しさを感じた場合には、医療機関を受診することが大切です。
また、喫煙や飲酒が膿胸のリスクを高める可能性もあるでしょう。健康的な生活習慣を心がけて、日頃から免疫力を高めておくことも大切です。
参考文献
膿胸治療ガイドライン

