■最高気温が18℃を下回ったら暖房しましょう
2023年から夏の暑さが厳しくなってきました。2024年も前年を上回る暑さでしたが、2025年はさらに暑い日が続きました。9月下旬になり、例年は涼しくなるお彼岸を過ぎても暑い日は続いていましたが、10月になり、突然気温が低くなりました。一年間で最も過ごしやすいともいえる10月に、秋の気配をさほど感じないまま、秋を飛び越えて冬を感じときもある気候でした。暖房を使い始めた人もいるのではないでしょうか。
このタイミングが、寒さ対策を始めるときです。秋土用は、18日間ですが、からだが気候に順応するためには約3週間必要ですので、10月中旬あたりから対策を始めるのが理想的です。
秋土用の時期は、咳、くしゃみや鼻づまりなどの呼吸器疾患、胃腸の不調、腰痛や膝痛などの関節痛を主訴として来院する人が急増します。その人たちに暖房使用の有無を聞くと、ほとんどの人が「暖房をしていない」と答えます。その理由を尋ねると、「寒くないから」という答えが圧倒的です。ところがおからだを拝見すると、ほとんどの人の手や足は冷たい状態にあります。お腹、腰、お尻や太ももも冷たい人が多く、どこを触っても全身暖かくありません。
スマートウエルネス住宅等推進調査委員会では、寒い環境なのに寒さを感じない要因について調査しています。 (住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第7回報告会~国土交通省スマートウエルネス住宅等推進事業調査に基づく「生活環境病」予防の医学的エビデンス~) 報告会では、室温が18℃を下回る寒い環境で暮らしていても、「寒さを認識できていない」「寒くない」「むしろ心地よい」と感じている人が多いという結果が出ています。 部屋別でみると、平均室温は、下記のとおりです。
居間17.7℃ 寝室13.1℃ 脱衣所 14.5℃
このうち、居間で3割、寝室で6割、脱衣所で1割の人が寒さを感じていないようです。 寒さを感じていない人の理由として、
1. 高齢者や肥満等循環器疾患のハイリスク者 2. こたつ利用者 3. 温暖地域に住む人
を上げています。上記の人は、寒くても「寒くない」と思いやすいとしています。 長年の臨床経験からこのデータに個人的意見を加味すると、
4. 薬を長期服用している人 5. ホットカーペットや電気掛毛布などの利用者
を追加として挙げられます。 また、寝室の室温が低いと、過活動膀胱になるため、夜間尿の回数が多くなり、睡眠障害にもつながることが報告されています。
推進調査委員会では「感覚的な寒さはあてにならず、室温を図って把握することが大切」と言っています。私も、毎日温度計を置いて、自分が生活している場所の室温を計測してみるように提案しています。エアコンの温度設定はあてになりません。住居環境で室温は変わりますので、床上から1メートルくらいの室温が何度かを気にするように言っています。私が患者様に提案している冬期の室温は以下のとおりです。
安静時 26℃~28℃ (居間でリラックスしているとき) 食事時 22℃~25℃ (食堂で飲食しているとき) 活動時 19℃~21℃ (家事、育児や作業をしているとき) 就寝時 18℃ (寝室で就寝するとき)
寒さは、サイレントキラーになりますので、最高気温が18℃を下回ったら室温に留意して暖房することを推奨します。
寒さ対策にご興味がある人は、JIJICO内にあるコラム 18℃未満の室温で生活すると危険!?寒い部屋は死亡率が増加!! をご参照願います。
■気温の寒暖差による体調不良に鍼灸治療や瘀血治療は最適です
秋土用の時期に適切な対策を講じることが出来ず、気温の寒暖差による体調不良でお悩みの人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試しいただきたく思います。からだが冷えている人には、お灸治療が最適です。冷え性でお悩みの人には、最善の治療法です。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談いただきたく思います。
2025(令和7)年11月19日(水)に小学館から発売される『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』(清野充典著・小学館)の内容は、JIJICOに掲載された1~70本目のコラムを24に再編集した内容です。この本のために書いたコラムもあります。清野が提唱する「養正治療」の内容が満載です。ぜひご覧いただき、東洋医学に基づく養生法を実践いただきたく思います。
(清野 充典/鍼灸師)

