
連続テレビ小説「ばけばけ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)で、雨清水家の三男で主人公・トキ(高石あかり)の弟である雨清水三之丞を演じる板垣李光人からコメントが到着した。職を求めていくつもの店を訪れ、「できることは人を使うこと。社長にしてほしい」と頼んで痛い目に遭っている三之丞について、視聴者は「世間知らず」「非常識すぎる」と呆れる声が多いが、板垣は「そこには母の期待に応えたい、喜んでもらいたいという気持ちがある」と語った。
■怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く
本作は、松江の没落士族の娘・松野トキが、夫・ヘブン(トミー・バストウ)と共に、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治の日本で、“怪談”を愛しながら何気ない日常を過ごしていく物語。文学者・小泉八雲と妻の小泉セツをモデルにしつつも、登場人物や団体名などは一部改称し、大胆に再構成してフィクションとして描いていく。
■三男で、遊んで暮らしていた三之丞
板垣が演じる三之丞は雨清水家の三男。養女に出されたトキの2歳下の弟となる。長兄が家督を継ぐため、特に役目が無く、居場所も無いので、若いころはトキたちが働くの仕事場に入り浸っていた。だが、父親の傳(堤真一)が病死し、長男は経営が傾いた家業の重責に耐えられず出奔。遊んで暮らしていた三之丞に経営難を立て直せる才も術もあるはずも無く、店は倒産。母・タエ(北川景子)と共に松江を離れる。
だが、いつの間にか戻ってきており、武家の娘出身でプライドが高く、働いたことなど無いタエは物乞いで日銭を稼ぎ、三之丞は「人に使われるのではなく人を使う仕事に就け」との母の言葉に従い、何の縁も無い店に飛び込みで訪れては「社長にしてくれ」と頼んで門前払いを食らいまくる日々。そんな状況を見かねたトキからまとまった金を渡されるが、三之丞はタエにそれを言うことができない中、あることに使ってしまう。

■板垣李光 コメント
――「ばけばけ」に出演が決まった際のお気持ちは?
朝ドラは初出演になります。大河ドラマがご縁となって、今回の「ばけばけ」という作品につながりました。以前ご一緒した方々と、またご一緒できるのがうれしいし、光栄なことなので喜びもありました。朝ドラは大河と並ぶ大きな看板番組でもあるので、そこに役者として関わることができるというのもうれしかったです。緊張とプレッシャーはどの現場にもありますが、全くの初めての方々と一緒にやるよりは、安心感も違いました。
また、朝ドラに初めて出演することで、いろいろな方面から反響がありましたが、特に最初に伝えた両親が喜んでくれたのが感慨深いです。普段も役が決まると伝えていますが、喜び方がいつも以上に大きかったように思います。
――母・タエとの関係性をどのように捉えて演じていますか?
雨清水家は時代に翻弄(ほんろう)された家族でした。もし違った時代であれば、もっと違った家族の形になっていたのだろうなと思います。北川(景子)さんとお話した際に、「この時代の三男とはいえ、子供は子供だから」とおっしゃっていました。時代の中ですれ違ってしまいましたが、やはりお互いがお互いに親子の愛情はあると思います。今後、より環境が大変になっていく中で、三之丞とタエとの間には、昔の状況のままだったら芽生えないような母と子のつながりが生まれていきます。そこには、松野家の家族のつながりとはまた違う魅力があると思います。
三之丞は、母のタエから「人に使われるんじゃなくて人を使う仕事に就きなさい」と言われたとき、それをそのままかなえようとします。苦しい生活の中でも、母の期待に応えようと、母に喜んでもらおうと、この言葉を自分の中で大切にしていました。決してこの厳しい状況で母からその言葉を口酸っぱく言われていたとは考えられません。なぜなら、タエも母として、三之丞の気持ちも分かっているからです。お互いに本当の気持ちを知らぬままきっと、来たる雪解けを二人とも待っているのだと思います。
雨清水家で育ってきて世間のことを知らない、という面ももちろんあると思いますが、生きるか死ぬかという状況の中で、母からの言葉や願いというものを一心にかなえようとする姿が、彼の魅力として伝わっていけばいいなと思っています。
――トキからお金を受け取った後の三之丞の気持ちについて、どのように考えてお芝居されましたか?
あの後の気持ちはぐちゃぐちゃでした。当時は大金であるこのお金で、今の状況が変わるかも、母も物乞いなどせずにいられるかもという微かな期待や高揚。自分の身内でもあるトキから施されるという情けなさや、それによって改めて突きつけられる自分の無力さ。そして、そんな自分自身を恨めしく思う気持ち。とにかくドラマで描かれていない部分も、ずっと三之丞は葛藤していたでしょうし、きっとろくに眠れていないのだろうな、と想像していました。
正しい使い方を見いだせぬまま、三之丞はとっさに母を守るため、そして雨清水家の尊厳を守るためにお金を使うという判断をしたのだと思います。第三者目線で見ると、「そのお金の使い方?」となるでしょうが、いざ自分が同じ状況に置かれると、最も正しいであろう判断というのはできなくなりますよね。
――「ばけばけ」の見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。
このドラマは派手な出来事が起こるわけではありません。でも、そこにリアリティーがある。映像も含めてライティングもリアルを切り取っているのを、台本を読んだりドラマの映像を見て思いましたし、そこがこれまでの作品と違う新しい朝ドラなのじゃないかなと思います。
ヒロインのトキも、これから波乱万丈な人生が待っていますが、雨清水家も本当に激動する大変な人生を歩んでいきます。この物語の中で三之丞とタエさんがどういう結末を迎えていくのか、僕自身も視聴者的な目線で楽しみにしていますので、皆さんも楽しみにしてください。

※高石あかりの高は正しくは「はしご高」

