●妻たちが語った「配信業への不安」
情状証人として出廷した2人の妻はいずれも「配信活動を好ましく思っていなかった」と証言した。前科前歴や、将来性への不安を抱えていたようだ。
Aの妻は当時、生後3カ月の子どもを抱え、育児と生活への不安もある中、弁護士と連携して弁償できるよう必死に動いた。今後、配信業はさせないと誓った。
Bの妻は、配信をやめてほしいと思っていたが、そのことを話せばケンカになるので、アカウントをブロックしていた。収入も把握していなかったが、夫が別の正業についた今は「再犯させない」と語った。
●「罰金は痛くないですね?」検察官の問い

被告人質問で、Aは「ドッキリ動画を作ることは多くなく、楽しく笑えるものを撮るつもりだった」と供述。しかし、弁護人からも「閉じ込めることが笑いになるのか?」と指摘された。
事件当時のフォロワーは20万人超。10~20代を中心に、町で声をかけられたり、写真を撮られることもあった。被害者も同じ年代だったことから、自身を知ってくれているのではと思い、恐がられるかもしれないという思いは抱かなかったという。
被害者の下車後「すみませんでした」と謝罪したというが、恐怖感を与えた思いからでなく、業務時間の手を取らせてしまった思いからだったという。
公判では「誤った考えだった」と被害者に向けて謝罪の言葉を述べ、急に知名度が高まったため、認識が未熟だったなどとも弁護人から指摘を受けていた。
しかし、今後は配信を続けないというAに検察官が疑問の目を向ける。
検察官:前回の逮捕をきっかけに有名になったのですか?
被告人A:ニュースになったので知られたかと思う。
検察官:逮捕後、収益はどうなりましたか?
被告人A:100(万円)いかないくらい。
検察官:じゃあ、罰金30万円は痛くないですね。
収益を目当てに今後も同種の行為を行わないかを暗に指摘する。
裁判官からも「簡単に稼げるのにやめられますか?」と問われたAは「家族に迷惑をかけたことを自覚して今後はおこなわない」と誓った。
撮影を担当していたBも「恐がらせる気はないが、笑みが出たら」という思いで、今回の動画の台本を作成したと述べた。
なお、以前の逮捕事案も動画再生数を目指す理由で、その後、顧問弁護士との契約を検討したが、実行しなかったという事情が明かされた。

