染色体異常の前兆や初期症状について
染色体異常には様々な種類があり、それぞれの異常によって症状や現れ方が異なります。そのため、全ての染色体異常について共通の初期症状や前兆を特定することはできません。
ただし一部の先天性疾患には妊娠中や出生後に特有の所見が現れることがあります。
妊娠中の兆候
妊娠中の超音波検査において染色体異常特有の所見がみられることがあります。
例えば、ダウン症に多く見られるケースとして、首の後ろのむくみ(NT)があります。通常よりも厚さが明らかな場合はダウン症の可能性が疑われ、必要に応じて精査を行うことがあります。
なおNTの厚みはダウン症以外の他の染色体異常や、正常な胎児にもみられることがあります。これだけで染色体異常が確定するわけではないことに留意しましょう。
その他にも、心臓に奇形が見られる場合や胎児の成長が通常週数よりも遅れている場合などは、染色体異常の可能性があると考えられています。
出生後の兆候
出生後に染色体異常が疑われる場合の所見として、主に以下の5つが挙げられます。
顔の特徴: ダウン症など特定の染色体異常では特徴的な顔つきが見られることがあります。
筋肉の緊張: 筋肉の緊張が弱く、首がすわったり、お座りをしたりするのが遅れることがあります。
心疾患: 先天性の心疾患を伴うことがあります。
発育の遅れ: 身長が低い、体重が増えないなど、発育が遅れることがあります。
知的障害: 知的発達に遅れが見られることがあります。
これらの兆候が見られたとしても、必ずしも染色体異常が原因とは限りません。 他の原因で同じような症状が出る場合もあります。
また、染色体異常によって起こる先天性疾患の中には特定の兆候が出ている場合があります。
例えば、ターナー症候群は、女性に多く、首が短く身長が低いという特徴があります。クラインフェルター症候群は、男性に多く高身長で睾丸が小さい。そして学習障害を伴うことがあることが示唆されています。
ダウン症の場合は、特徴的な顔貌が見られるほか、心疾患や消化器系の異常を伴うことがあります。
染色体異常の検査・診断
染色体異常の検査は妊娠中から実施することができます。主に3種類の出生前診断という検査があり、それぞれ種類によって、対象時期や検査項目が異なります。
また、検査の位置付けもスクリーニングとして行う事前精査や、確定をするための確定診断であるのか、検査の種類によって実施する目的にも違いがあります。
NIPT(新型出生前診断)
NIPTは、妊婦さんの血液を採取し、その中に含まれる胎児のDNAを分析することで、胎児の染色体異常のリスクを評価する検査です。
従来の羊水検査や絨毛検査と異なり、お腹に針を刺すなどの侵襲的な処置は不要で、安全性が高いことが特徴です。
NIPTの種類によっても精査可能な範囲が異なりますが、一般的な検査の場合は主に21トリソミー(ダウン症)や18トリソミー、13トリソミーの3種類を精査することができます。
この検査は一次スクリーニングとして位置付けられており、染色体異常の可能性を探る検査です。陽性判定が出た場合は、確定診断をするために、羊水検査や絨毛検査を実施する必要があります。
羊水検査
羊水検査は、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、染色体異常の有無を調べる検査です。羊水が胎内で充分に作られる妊娠16週頃が検査の対象時期となります。
この検査はNIPTと比べると針を刺すことによるリスクが伴いますが、検査精度は高く確定診断として用いられています。
絨毛検査
絨毛検査は、子宮内に細い針を刺して、胎盤の一部である絨毛を採取し、染色体異常の有無を調べる検査です。対象時期は妊娠10〜13週頃であり、羊水検査よりも早い時期に確定診断を行うことができます。
羊水検査と同様に、身体に細い針を刺して検体を採取することからNIPTと比べると身体的負担が伴います。絨毛検査も、確定診断として位置付けられています。

