母性を引き受けているのは夫のほうかも
ユーミンさまのウィスパーボイスに癒やされる名曲『やさしさに包まれたなら』にインスパイアされて書かれたという『小さい頃は、神様がいて』における「神様」とは、母性への回帰のことではないか。でもその聖母信仰からどう脱出できるか全女性はずっと頑張ってきた。そこで『小さい頃は、神様がいて』では、性別も年齢も関係なく誰もが広い意味での「母」を引き受ける可能性を示しているのかもしれない。そう考えると、車の中であんの怒りを聞いている渉は、どちらかといえばあんのお母さんのようにも見えてくるのだ。
<文/木俣冬>
【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

