エコノミークラス症候群の治療
血栓が比較的少なく、血圧や呼吸状態が落ち着いている場合は、抗凝固薬(ヘパリン、ワーファリンなど)による治療が行われます。抗凝固薬には血液を固まりにくくする作用があります。
血栓が多く、血圧が低下し全身への血流が保てなくなるなどのショック状態がみられる場合は、詰まった血栓を早く溶かして肺の血流を回復させる必要があり、血栓溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼなど)が使用されます。
心停止などの重症な症状がみられる場合は、手術により直接、血栓を取り除く治療が行われることがあります。
下肢にまだ血栓が残っていて肺に飛ぶことが懸念される場合、腹部の静脈にフィルターを入れ、血栓が血液にのってもフィルターで捉えて肺まで達することのないようにする治療もあります。
エコノミークラス症候群は治療が遅れると重症化し、命にかかわる危険性が高まるため、早期に診断・治療を行うことが重要です。
エコノミークラス症候群になりやすい人・予防の方法
以下にあてはまる人はエコノミークラス症候群になるリスクが高くなると考えられます。
高齢者や肥満のある人
妊婦・出産直後の人
4時間以上の長時間飛行する場合
短期間に飛行機を利用した場合
経口避妊薬(ピル)を服用中の人
最近大きな手術を受けた人
がんのある人
慢性の心肺疾患や自己免疫性疾患のある人など
また、災害などによる避難所生活で長時間座ったままや横になったままの姿勢が続いている人、車中泊をしている人なども発症率が高まるとされています。
エコノミークラス症候群を予防する方法として、ストレッチや軽い体操・運動などが推奨されています。長時間同じ姿勢が続く場合は、足の血流が滞るのを防ぐため、かかとの上げ下ろし運動をしたり、ふくらはぎをもんだりしましょう。飛行機に乗っている場合は、2〜3時間に1度は通路を歩くなどして体を動かすのもおすすめです。弾性ストッキングの着用も効果が期待できると考えられています。
また、水分は十分かつこまめに摂取し、アルコールは脱水を起こしやすいため控えるようにしましょう。
手術後に長期間の安静を必要とするような大きな手術を受けた人は、手術後のリハビリテーションや予防体操、適切な体位の交換により血栓が生じるのを予防します。
関連する病気
肺血栓塞栓症(PE)
深部静脈血栓症(DVT)
参考文献
厚生労働省検疫所 FORTH 病気にならないために
社会福祉法人 恩賜財団 済生会 肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
厚生労働省 エコノミークラス症候群の予防のために
一般社団法人 日本呼吸器学会 肺血栓塞栓症
慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS 肺血栓塞栓症
厚生労働省 深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防Q&A(一般の方々のために)
近畿大学病院 肺血栓塞栓症の治療

