「プリン体ゼロなら飲んでも安心」「野菜ならいくらでも食べていい」など、痛風に関する誤解は少なくありません。実際には、アルコールや一部の野菜にも注意が必要です。正しい知識を持つことで、無理なくバランスの取れた食生活を続けることができます。本章では、誤解を解きながら賢い食事法を紹介します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
痛風と食べ物に関する誤解と正しい知識
痛風と食事の関係には、いくつかの誤解が残っています。たとえば「野菜はすべて安全」という認識ですが、ほうれん草やカリフラワーなど一部の野菜には比較的多くのプリン体が含まれます。ただし、動物性食品ほどではなく、適量であれば問題ありません。むしろ野菜のアルカリ化作用が尿酸排泄を助けるため、過度な制限は不要です。
プリン体ゼロのアルコールでも、アルコールの代謝過程で乳酸が増え、尿酸の排泄を妨げるため、飲みすぎれば尿酸値は上がります。アルコールそのものが尿酸の生成を促進し、排泄を妨げるため、プリン体カットのビールや蒸留酒でも飲みすぎれば尿酸値は上昇します。種類よりも量のコントロールが重要です。
さらに「痛風になったら一生厳しい食事制限」という考えも誤りです。薬によって尿酸値を安定させながら、医師の指導のもとで食事の幅を保つことが可能です。無理なく続けられるバランスの取れた食生活が、再発防止と生活の質の両立につながります。
調理法で変わるプリン体の摂取量
プリン体は水に溶けやすいため、茹でたり煮たりすることで一部を減らせます。茹でこぼしたり煮汁を捨てたりする工夫が効果的です。反対に、スープや煮汁をそのまま摂る料理(鍋やラーメンなど)は、溶け出したプリン体を一緒に摂ることになるため注意が必要です。
焼く・炒める調理法ではプリン体が残りやすく、揚げ物は脂質の摂りすぎにつながります。蒸し料理は油を使わずヘルシーに仕上がるためおすすめです。調理法を意識するだけでも、プリン体摂取量を大きく減らすことができます。
外食や飲み会での工夫
外食ではプリン体が多い食材やアルコールを摂りすぎやすいため、メニュー選びが大切です。野菜や豆腐、サラダを中心にし、レバーや白子などの高プリン体食材は控えめにします。白身魚は相対的にプリン体が少なめの種類が多いですが、量と頻度の調整が大切です。
お酒は量を抑え、水や烏龍茶を合間に挟むことで脱水と尿酸上昇を防げます。食事会の前に軽く食べておく、食後に多めの水分を摂るなどの工夫も有効です。無理のない範囲で続けられる習慣づくりが、長期的な尿酸値の安定につながります。
まとめ
痛風は、適切な知識と治療により十分にコントロール可能な疾患です。尿酸値が高いと指摘された方や、痛風発作を経験した方は、早期に専門医を受診し、総合的な評価を受けることが推奨されます。生活習慣の見直しと薬物療法を組み合わせることで、痛風発作の再発を防ぎ、関節や腎臓の健康を長期にわたって守ることができます。痛みや不安を抱えたまま過ごすのではなく、専門家の支援を受けながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。健康診断の結果を軽視せず、早めの相談と継続的な管理を心がけることで、質の高い生活を維持できます。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
日本腎臓学会「CKD診療ガイド2023」
国立がん研究センター「多目的コホート研究」
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

