へそのごまを長期間放置すると、単なる見た目や臭いの問題にとどまらず、健康面でのリスクが生じることがあります。蓄積した汚れは細菌や真菌の温床となり、炎症や感染症を引き起こす可能性があるのです。特に基礎疾患をお持ちの方や免疫機能が低下している方は注意が必要です。ここでは、へそのごまが原因で起こりうる臍炎のリスクと、医療機関への受診を検討すべき症状について説明します。

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
へそのごまが健康に及ぼす影響
へそのごまを放置すると、不快な臭いだけでなく、炎症や感染症を引き起こす可能性があります。特に細菌や真菌が異常繁殖すると、臍炎という状態を招くことがあるため注意が必要です。
臍炎(さいえん)のリスク
へそのごまが長期間蓄積すると、細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすくなり、へその皮膚に炎症を起こすことがあります。この状態を臍炎と呼びます。臍炎の初期症状としては、へそ周辺の発赤、腫れ、軽い痛みや痒みが挙げられます。
炎症が進行すると、へそから黄色や緑色の膿が分泌されたり、悪臭が強まったりします。さらに放置すれば、発熱や全身倦怠感を伴う場合もあり、まれに炎症が深部に広がり、敗血症といった重篤な状態に至る可能性も否定できません。ただし、適切な初期治療で重症化は防げます。
特に糖尿病や免疫抑制状態にある方は、細菌感染が重症化しやすいため注意が必要です。また、肥満によりへその窪みが深くなっている方や、皮膚の折り重なりが多い方も、湿潤環境が持続しやすく炎症リスクが高まります。ただし、適切なケアを行っていれば、こうしたリスクは大幅に低減できます。
受診が推奨される症状
へそに以下のような症状が現れた場合は、自己判断で対処せず、速やかに皮膚科や内科を受診することをおすすめします。まず、へそから膿や浸出液が持続的に出る場合は、感染の徴候である可能性が高いです。
次に、へそ周辺の皮膚が赤く腫れ上がり、触れると強い痛みがある場合も、炎症が進行している兆候です。また、発熱や悪寒を伴う場合は、感染が全身に波及している可能性があり、早急な治療が求められます。
臭いが極端に強く、日常的な洗浄でも改善しない場合も、細菌や真菌の異常増殖が疑われます。さらに、へその内部に硬いしこりを触れる、出血が見られる、といった症状は、まれではありますが腫瘍性病変の可能性も考慮する必要があります。
これらの症状がある場合、医師は視診や培養検査を行い、適切な抗生物質や抗真菌薬を処方します。早期に受診することで、症状の悪化を防ぎ、短期間で改善することが期待できます。
まとめ
へそのごまは、皮脂、汗、角質などが蓄積した汚れの塊であり、放置すると臭いや炎症の原因となります。安全な除去には、オイルでふやかしてから優しく取り除く方法が推奨されます。無理に引き剥がすと皮膚を傷つけ、痛みや感染を招くため注意が必要です。
へその形状や皮脂分泌量、生活習慣により蓄積しやすさには個人差があります。日常的な入浴時の丁寧な洗浄と乾燥、通気性の良い衣類の選択が予防に有効です。
強い臭いや炎症、除去後の持続する痛みがある場合は、速やかに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。定期的なケアを習慣化することで、へそのごまによるトラブルを未然に防ぎ、清潔で健康的な状態を保つことができます。
参考文献
日本皮膚科学会
国立感染症研究所「皮膚感染症について」

