痛風は体質や遺伝の影響を強く受ける病気です。尿酸をうまく排泄できない体質や、肥満・内臓脂肪の増加が大きなリスクとなります。特に男性や閉経後の女性では発症率が高く、家族歴がある方は注意が必要です。ここでは、体質や性別・年齢など、痛風になりやすい身体的特徴を詳しく解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
痛風になりやすい方の身体的特徴
痛風は、遺伝や体質の影響を強く受ける疾患です。生まれつき尿酸を排泄しにくい体質の方は、食事に気をつけていても尿酸値が高くなりやすく、発症リスクが上がります。尿酸は主に腎臓から排泄されるため、腎機能や代謝に関わる体質的な差が痛風のなりやすさを左右します。
肥満も大きな要因のひとつです。体重が増えると尿酸の生成が増え、排泄も低下します。特に内臓脂肪が多いとインスリン抵抗性が高まり、尿酸の排泄をさらに妨げます。そのため、体重管理は痛風予防の基本です。
また、痛風は男性に多く、女性では閉経後に増える傾向があります。女性ホルモン(エストロゲン)には尿酸の排泄を助ける作用があるため、閉経前は発症しにくいものの、閉経後は尿酸値が上がりやすくなります。家族に痛風歴がある場合は、遺伝的な体質も関与している可能性があるため注意が必要です。
生活習慣と痛風リスク
飲酒や運動不足、ストレスなどの生活習慣も痛風リスクを高めます。アルコールは尿酸を作り出す量を増やし、排泄を妨げるため、種類にかかわらず摂取量に注意が必要です。ビールはプリン体が多く、焼酎やワインも飲みすぎれば尿酸値が上昇します。
運動不足は肥満や代謝低下を招き、尿酸の排泄が悪化します。短距離走や筋トレなどの強い負荷をかける運動(無酸素運動)は一時的に尿酸を増やすため、ウォーキングなどの有酸素運動を継続するのが理想です。
また、ストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、腎機能にも負担をかけます。規則正しい生活リズムを保つことが、痛風の再発予防につながります。
併存疾患との関連
痛風は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病と密接に関係しています。これらはインスリン抵抗性や慢性炎症を共通の背景に持ち、尿酸値を上げやすい状態を作ります。
高血圧の治療薬である利尿薬は尿酸排泄を抑える場合があり、糖尿病では腎機能の低下により尿酸が溜まりやすくなります。脂質異常症は動脈硬化を進め、腎臓の血流を悪化させるため、間接的に尿酸代謝に影響します。
さらに、慢性腎臓病を持つ方は尿酸を十分に排泄できず、悪循環を起こすことがあります。そのため、痛風の治療では尿酸値だけでなく、血圧・血糖・脂質・腎機能を含めた総合的な管理が不可欠です。
まとめ
痛風は、適切な知識と治療により十分にコントロール可能な疾患です。尿酸値が高いと指摘された方や、痛風発作を経験した方は、早期に専門医を受診し、総合的な評価を受けることが推奨されます。生活習慣の見直しと薬物療法を組み合わせることで、痛風発作の再発を防ぎ、関節や腎臓の健康を長期にわたって守ることができます。痛みや不安を抱えたまま過ごすのではなく、専門家の支援を受けながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。健康診断の結果を軽視せず、早めの相談と継続的な管理を心がけることで、質の高い生活を維持できます。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
日本腎臓学会「CKD診療ガイド2023」
国立がん研究センター「多目的コホート研究」
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

