テタニーという筋肉の硬直が持続的に起こる症状は、激しい痛みを伴うためつらさを感じる方が多いです。
あまりにも頻繁に起こると「病気なのではないか」「また症状が出るのがこわい」という方もいます。
テタニーの症状で悩んでいる方に向けて、テタニーの治療方法や予防方法について詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「テタニー」の前兆となる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
テタニーの治療方法や予防方法

テタニーは主にどのような治療を行いますか?
治療方法は検査の結果によって異なりますが、電解質異常の場合はカルシウムやマグネシウムの補充療法を行います。症状が軽度の場合にはカルシウムやビタミンDのサプリメントを服用しますが、重度の場合はグルコン酸カルシウム製剤を静脈注射・点滴するケースもあります。
検査によって原因となる疾患が発見された場合には、その病気を治すための治療が必要です。その際の治療方法は医師と相談しながら、適した治療法を提案してもらいましょう。また継続的に服用している薬剤が原因でテタニーが起こっていると分かれば、薬剤の使用を中止します。
テタニーを起こす代表的な薬剤は利尿薬です。利尿薬を長期で飲み続けているとテタニーの症状が起こることもあるため、症状が出た際は薬の使用を停止して経過を観察します。
テタニーの治療中、自宅でできるケアなどあれば知りたいです。
テタニーの治療中は処方された薬を飲み忘れないように注意しましょう。
ビタミンなどの錠剤を服用している間は尿のカルシウムが増えやすくなる傾向がありますが、薬による作用のため過度に気にする必要はありません。
万が一自宅でテタニー発作による痙攣が起こった際には、口周りの痙攣によって舌を噛んでしまうことがあります。タオルを加えるなどして舌を噛んでしまわないように注意しましょう。
テタニーは予防できますか?
テタニーが起こる原因が病気であった場合は、まず特定の病気を治すことで症状が和らぎます。
自宅でできる予防策としては、電解質のバランスを整えるためにミネラルを補給しマグネシウム・カルシウム・カリウムの多い食べ物を食べることです。
また定期的にストレッチなどをして身体を温めたり動かしたりすることも効果があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
テタニー自体は病気ではありませんが、テタニーが頻繁に発生する背景にはすぐに処置が必要な病気が潜んでいる可能性があります。症状が強くなると痙攣などの発作となり意識を失ってしまうこともあるため注意が必要です。もし発作のような症状が出た場合には神経内科で精密検査を受けてみましょう。血液検査などで電解質に異常がないかどうかを確認することもできるため、早期に症状を改善できる可能性があります。
テタニー症状は、自分の意志とは無関係に手足や手指などの領域で筋肉が痙攣を起こした状態を指しています。この症状は、電解質のバランス異常によって主に引き起こされると認識されています。また、電解質の異常を認める背景に根本的な原因となる基礎疾患が潜在している可能性があります。テタニー症状は、低カルシウム血症や低マグネシウム血症などの電解質のバランスが崩れた状態が直接的に原因となって発症します。こうした電解質のバランス異常の誘因としては、例えば副甲状腺機能低下症を代表例として挙げることができます。
副甲状腺とは甲状腺の周囲に存在している臓器であり、副甲状腺ホルモンと呼ばれる生体にとって重要なホルモンを日々分泌しています。このホルモンはカルシウムバランスを保つ働きがあり、副甲状腺機能低下症でホルモンの分泌が低下するとカルシウムの障害が生じるのでテタニー症状の出現につながります。電解質の明らかな異常所見があれば、それらを効率的に補正するためにカルシウムやマグネシウムの補充療法が医療機関で実践されます。補充そのものは点滴によって投与することもあれば、内服薬を用いることも経験されます。また、原因疾患に応じた治療も考慮する必要があります。仮に、長期的な薬剤服用がテタニーの原因と想定されるケースでは、原因薬剤の中止も考慮されます。
編集部まとめ

テタニーとは手足などの筋肉が痙攣して、持続的に硬直している状態のことをいいます。
テタニーは病気の名前ではありませんが、テタニーが症状として現れる病気が存在します。
テタニーを発生させる病気の1つは副甲状腺機能低下症というカルシウム障害を起こす病気です。
その他にも電解質の異常や薬の影響、過換気症候群などさまざまな原因が考えられます。
テタニーの症状で悩んでいる場合は、まず神経内科を受診して血液検査や必要に応じた検査をしてもらいましょう。
早めに受診することで、症状の原因を早期に見つけて悩みを解消できる可能性があります。
参考文献
低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低いこと)|MSDマニュアル家庭版
【2)脳と神経】 4)突っ張る痛み、突然体中に|公益社団法人 鳥取県医師会
特発性副甲状腺機能低下症|日本内分泌学会

