「熊の脅威をフィクションのように捉えている」札幌・東京2拠点の筆者が体感する“認識の落差”とは

「熊の脅威をフィクションのように捉えている」札幌・東京2拠点の筆者が体感する“認識の落差”とは

今年のクマは冬眠しないのか問題

 ヒグマ警報、注意報が発出されている札幌市街地で、市民生活に大きな不安があるのは言うまでもない。市民たちは特にクマが多く目撃される時間帯である早朝と夜にそんな恐怖を抱いて神経質にならざるを得ない。朝の通勤、通学も徒歩では不安だし、視界がはっきりしない夜はうかうか散歩もできない。

 少しでも不安を払うために、登山時に携帯するクマ避けの鈴を住宅街を歩くときでさえ身につけ、大きく音を鳴らしている人も見かけるくらいだ。

 では、日中や夕方なら安全かというとそうとも限らない。実際、上述した猟友会による駆除は昼下がりのことだった。こうした不安と隣り合わせの生活をいったい、いつまで続けたらいいのだろう? クマの冬眠期までかと思えば、どうやら今年のクマは冬眠をしないかもしれないという専門家の意見まである。

 一般的にクマの冬眠は12月から翌年2月までといわれているが、昨年の大晦日や今年1月の道内では冬の市街地にもヒグマが出没した。

 クマが冬眠する理由について酪農学園大学の佐藤喜和教授は「エサが十分取れない時期に、エネルギー消費を節約するため」と解説している。大晦日の出没は昨年のどんぐりの豊作でクマが「エネルギー消費を節約する」必要があまりなかったためと考えられている。

 逆に今年の秋はどんぐりが不作。これはこれで空腹のクマが冬眠中に起きて出没する可能性がある。地球温暖化の影響もあるという指摘もある。円山動物園内にヒグマが侵入した前日(11月8日)の朝にかけて、札幌では今季初の積雪があり、。路面に積もる雪がクマの足跡をくっきり際立たせている。北海道の長い冬の間中、それが常態化するのは恐怖でしかない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修

俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu



配信元: 女子SPA!

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