
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
慢性膵炎の概要
慢性膵炎は長期にわたって膵臓に炎症が続くことで、正常な細胞が少しずつ壊れて線維化し、硬くなってしまう病気です。進行するにつれて膵臓の働きが弱くなり、食べ物の消化吸収や血糖値のコントロールがうまくできなくなります。
慢性膵炎は、お酒が原因で起こるアルコール性慢性膵炎と非アルコール性慢性膵炎(特発性、遺伝性、家族性など)の2つのタイプがあります。アルコール性慢性膵炎は、慢性膵炎のなかでもっとも多く、長期間にわたるお酒の飲み過ぎによって発症します。
症状はお腹や背中の痛みがありますが、痛みが全くないまま進行するケースもあります。慢性膵炎の治療は、薬をつかったり、内視鏡を使ったりして痛みを和らげる方法や、断酒・禁煙などの生活習慣を改善する方法があります。場合によっては手術を検討されることもあります。
炎症が続くと膵臓に石ができたり(膵石)、膵液とよばれる消化液の通り道である膵管とよばれる管が狭くなり(膵管狭窄)、膵液がうまく流れなくなります。さらに病気が進むと、膵臓の働きが弱くなり、痛みは軽くなる、あるいはなくなっていきます。しかし食べ物がうまく消化吸収できなくなるため、栄養障害や体重減少、また糖尿病を発症します。慢性膵炎が進むと、膵臓癌になるリスクも高くなります。
慢性膵炎はゆっくり進行する病気で、一度硬くなった膵臓は元に戻らないといわれています。そのため長い間、病気と付き合っていくことになります。できるだけ病気の進行を遅らせるためには、痛みが出ないように断酒や禁煙を心がけ、食事にも気をつけ生活することが必要です。

慢性膵炎の原因
主な原因は大量の飲酒(アルコール性)であり、慢性膵炎の原因のおよそ7割を占めるといわれています。またアルコール以外にも、喫煙や遺伝性、自己免疫性(IG4関連を含む)、閉塞性の炎症(膵管狭窄を含む)などが関与し、原因が特定できない特発性もあります。
膵臓には食べ物を消化するための膵液をつくる働きと、血糖値を下げるインスリンといわれるホルモンをつくる働きがあります。膵臓で作られた膵液は十二指腸に送られて、食べ物の消化を助けます。慢性膵炎では長い間炎症が続くため、膵臓の細胞が壊れて硬くなってしまいます。
膵臓が硬くなると膵液が流れる道が狭くなり、「膵石」という石ができることもあります。さらに膵液の流れが滞ると膵臓やその周りに膵液が漏れだし、膵仮性嚢胞(すいかせいのうほう)という袋ができることもあります。
膵臓の消化機能が弱くなると、体重が減ったり栄養が足りなくなります。またインスリンの分泌機能に障害を起こすと血糖値のコントロールができなくなり、糖尿病を発症します。

