福祉用具レンタル・販売事業を手掛けるダスキンは8月25日、全国の20~50代の男女1000名を対象に実施した、将来自分がケアラーになることや仕事と介護の両立に対する不安感などに関するアンケート調査の結果を発表しました。
この調査の内容を詳しく見ていきましょう。

「将来自分が(家族の)介護をすることになると思うか」では、「思う」という回答が66.4%となり、介護に直面する懸念を抱いている人が多いことが伺えます。
これを男女・年代別に細かく見ていると、全年代で女性の方が高くなっており、特に30代女性・40代女性では72%を超えています。
「将来介護をすることになると思う」と回答をした人に、将来の介護に対する不安感を0~100の数字(大きいほど不安感が強い)で示してもらったところ、平均は72.7となりました。
男女・年代別ではやはり女性の方が高く、中でも30代女性・40代女性は80近くになっています。
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さらに「介護と仕事が両立できるか不安」と回答した人の割合は、全体では85.8%ですが男性が80.3%なのに対し、女性は91.5%と大きな差が見られます。
特に40代女性では94.2%と非常に高くなっています。
「介護のために仕事を辞めざるを得ないかもしれないと思う」という回答割合は全体では73.0%でした。
こちらも女高男低の傾向がみられ男女間で9.0ポイントの差がついています。
また、この設問に関しては他とは異なり、20代女性が最も高い割合となっているのが特徴と言えます。
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このように、男性よりも女性の方が、将来自分がケアラーになることへの不安感や、そうなった場合に離職をしなければいけないかもしれないと考える傾向が強いという結果が見られました。
これについては、今でも「家族の介護は女性(妻・娘・嫁)がするべきこと」という考えが介護をする年代の側にも強く、女性の方が介護の問題を身近に感じやすいという点があると思われます。
また、家族に介護が必要になり、夫婦のどちらかが離職をしなくてはいけない事態になった場合、収入面などを考えて給与の低いことが多い妻が離職をするケースの方が多いという現実も影響しているでしょう。
そして、実際にはまだ介護問題が身近ではない30代・40代の女性の不安感が高いことについて、介護問題の解決などを目指して活動するNPO法人の代表理事は「この年代は、自分の子育てと介護の両方に直面する『ダブルケア』に対する不安が多いではないか」と分析するコメントを寄せています。
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では、こうした不安感を解消するにはどうしたらいいのでしょうか。
アンケートの中で「介護と仕事が両立できるか不安」と回答した人に対し、その具体的な理由を複数回答で挙げてもらったところ
「仕事とのバランスの取り方にイメージが持てない」
「介護にどれぐらいの時間・負担がかかるか想像しづらい」
の2つが群を抜いて多くなりました。
つまり「介護が実際にどの程度大変なのか」という点がわかっていないのです。
家族の介護を経験した人の話は、講演や書籍・ネットなどを通じて知ることができます。
しかし、関心を惹くため、またケアラー支援制度の充実を訴えたいために、どちらかと言えば「介護がいかに大変か」というネガティブな情報を発信する傾向にあります。
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しかし、改正育児介護休業法の施行などケアラーを支援する取り組みが整備される中で、様々な制度を上手に活用して仕事と介護の両立を成し遂げた人も増えているはずです。
ところが、そうした人たちの話はあまり表に出てきません。
こうした「成功事例」を広く伝えていくことで、将来自分の身に降りかかるかもしれない「家族の介護」という問題に対してもう少しポジティブに捉えられる人が増えていくかもしれません。
介護の三ツ星コンシェルジュ


