駅から少し歩いたところにある、さりげない佇まい。「細見商店」は、東大阪・布施のラーメン屋。けれど、ただのラーメン屋ではない。
スープの奥に感じる、店主の故郷のぬくもり。ふわりと香る柚子皮や、もちっとした太麺。一杯すすれば、体が少しずつゆるむのがわかる。ここでしか味わえない、濃厚でまろやかな“麦味噌”がある。
百名店という肩書きより、もっと手前のところで、人はこの店に恋をする。

駅から歩いて、記憶のほうへ
近鉄布施駅の改札を抜け、商店街をぬけると、ぽつんと「細見商店」の看板が現れる。特別派手でもなく、かといって地味でもない、町に馴染んだその佇まいは、ちょっと見逃しそうになるくらい自然体だ。でも、ドアを開けた瞬間、空気が変わる。

厨房からはスープの香り。カウンター越しに飛び交う、短い会話と、湯気。この町で暮らす人たちの、昼休みの景色がそこにあった。
麦味噌の記憶が、スープになる
細見商店の「金の麦味噌ラーメン」。その名前を聞いた瞬間に、口の中にほのかな甘みが蘇る。

使われているのは、店主の故郷・愛媛でつくられた麦味噌。鶏と豚骨をベースにしたスープに合わさると、どこか懐かしい、けれど芯のある一杯が生まれる。
味噌の甘さがただのコクで終わらず、時間をかけて溶けていく。その途中で、刻んだ玉ねぎがサクッと現れて、ほんのり苦いアクセント。

そして、厚切りの三元豚チャーシューは、まるでごちそうみたいに存在感を放っている。
