不倫決行前日、長男・和人が38.9度の高熱を出す。和人の苦しみを無視し、不倫に心を奪われてニヤつく夫の「父親失格」な態度で、さくらの離婚決意は決定的なものに…。
高熱のわが子に不安を抱く
翌朝(金曜日)、和人が熱を出した。
いつもなら朝から元気に「あーうー」と声を出すのに、今朝はぐったりとして、熱っぽい。体温計を脇に挟むと、ピピピという音と共に表示されたのは「38.9度」。かなりの高熱だ。
母乳を飲ませようとしても、すぐに口を離してしまう。私は抱きしめ、背中をさすり、ただただ早く熱が下がってくれることを祈った。
夫の態度が許せない
こんな状況なのに、何が許せないって、夫の実の態度だ。リビングで和人を抱きながら座っている私を横目に、夕方に帰宅した夫はスマホをいじり続けている。和人が泣くと一瞬だけこちらを見るものの、すぐに視線をスマホに戻す。
「今日は病院に行ってきたんだけど、まだ熱が高いみたい」
私が不安を口にしても、スマホから目を離さず
「まあそのうち下がるでしょ?俺明日はいないし、早く下がるといいな~」
そう言う夫の顔に目をやると、スマホを見てニヤニヤと笑っていた。その顔は、私の知っている夫の顔ではない。それは、独身のフリをして女と遊ぶことに胸を躍らせている、気味の悪い男の顔だった。

