
郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を届けている。仕事である以上、配達先を選ぶことはできないが、なかには“理由はわからないのに近づきたくない家”が存在するという。霊感のある配達員が遭遇したという物件は、遠目に見るだけで背筋が冷えるほどの嫌な気配を放ち、近づけば頭痛まで襲ってくるほどだった。今回は、現役配達員が体験した“怖すぎる物件”を描いたエピソードを紹介する。
■“近づくだけで鳥肌”配達員が避け続けたアパートの最奥部屋



その古い2階建てアパートは、階段の下に立った瞬間に鳥肌が立つほどの異様な空気に包まれていた。事故物件情報を調べても該当せず、表向きは何の変哲もない。だが、2階の一番奥の部屋からだけは、明らかに“何か”が漂っていたという。人の気配はなく、普段は配達の必要もなかったため、「近寄らずに済むならそれでいい」と気を抜いていたと振り返る。
しかし、避けてきたその部屋に向かわざるを得ない状況が訪れる。きっかけは、コロナ禍に政府が実施したガーゼ製布マスクの全戸配布だった。窓にはカーテンもなく、人が住んでいる様子はない。それでも郵便局の原簿上は“居住中”とされており、配達をしなければならない…。逃げ場のない運命に覚悟を決めた彼は部屋へ向かい、今も忘れられないほどのおぞましい光景を目にすることになる。
■郵便配達員が描く実録怪談、送達ねこさんとYくんの実体験
このエピソードを漫画化したのは、現役郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さん。漫画を描き始めて以降、各地の配達員から不思議な体験談が届くようになり、シリーズ化されていったという。本作『嫌な家』について、送達ねこさんに話を聞いた。
物語の体験者であるYくんは、霊感を持つタイプの配達員だという。送達ねこさんは「彼のような人は、日頃から私たちには見えない苦労をしているはず」と語る。その一方で、危険な場所を察知して避けられるという点では“能力”が働いているのではないかとも話す。
また、避けたい場所であっても郵便物があれば必ず向かわなければならないのが配達員の宿命であり、読者から「命より仕事を優先してしまう日本人らしい」という感想が寄せられたこともあるという。
「郵便屋が集めた奇談」シリーズには「不思議で怖い話が好き」「ゾクッとするのに面白い」といった声が寄せられている。日本のどこかで静かに起こっている怪異現象を追体験できる作品だ。
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