慢性リンパ性白血病は、血液のがんの一種で、ゆっくり進行する白血病です。また、初期には自覚症状がないまま健康診断で発見されることも少なくありません。本記事では、そんな慢性リンパ性白血病の概要と原因、初期症状と進行した場合の症状、検査方法と診断基準、治療法について解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
慢性リンパ性白血病とは?概要と原因

慢性リンパ性白血病とはどのような病気なのでしょうか。本章では慢性リンパ性白血病の概要と原因について解説します。
慢性リンパ性白血病の概要
慢性リンパ性白血病(CLL)は、白血球の一種であるBリンパ球ががん化して増殖することで発症する病気です。進行の速度が遅く、インドレント(低悪性度)リンパ腫に分類されるタイプの白血病です。がん化した異常なBリンパ球は主に血液や骨髄に増えますが、リンパ節や肝臓、脾臓といったリンパ器官にも蓄積することがあります。
慢性リンパ性白血病の原因
慢性リンパ性白血病の明確な原因はいまだに解明されていません。ただし、疫学的な特徴として欧米人に多くアジア人ではまれであることがわかっています。アジア人が欧米に移住してもCLLの発症率はさほど上昇しないことから、環境要因よりも遺伝的要因の関与が示唆されています。
慢性リンパ性白血病の初期症状

慢性リンパ性白血病は進行がゆっくりであるため、初期の段階ではほとんど症状がありません。自覚症状がないまま健康診断などで行った血液検査で白血球の増加を指摘され、偶然に発見されるケースも多い病気です。初期に症状が現れる場合でも、ごく軽い倦怠感や微熱、痛みのないリンパ節の腫れを触れる程度で、日常生活に支障が出るほどの症状はまれです。これら初期症状ははっきりしないため見逃されやすく、症状がない場合には患者さん自身も病気に気付かないことがほとんどです。

