
当時16歳だった弟の孝さん。思春期で仲が悪く、決していい姉とは言えなかったというきむらかずよさん(@kmk11161)。そんな弟がある日、事故で帰らぬ人となった。加害者は事件当時の出来事に嘘をつき、地域の住人は噂話で両親を苦しめた。きむらかずよさんの実話『16歳で帰らなくなった弟』を紹介するとともに、インタビューを行った。
■「ブレーキ痕」が示す真実…嘘と噂に翻弄された家族



深夜11時56分。きむらかずよさんの弟は、車との衝突事故で亡くなった。享年16歳。道路には長いブレーキ痕が残り、バイクは数十メートル吹き飛ばされた。同乗していた女の子も、数時間後に命を落とす。
事件後、「バイクは赤信号を無視して直進してきた」という証言もあり、両親は「弟の起こした事故では?」という声に翻弄される。閉鎖的な街ではあることないこと噂が飛び交い、きむらさんを含め家族の心は大きく疲弊した。
しかし、弟は多くの仲間に慕われていた。事故の真相を警察に伝えてくれたのも、事故現場の献花を掃除してくれたのも弟の仲間たちだった。本書は事件の真相と、壊れた家族が少しずつ再生していくまでを描く自伝である。
■「描いてくれてありがとう」…作者が語る“地獄の苦しみ”と心の整理
本作を制作した経緯について、きむらさんは「コロナ禍で家にいる時間が長く、ちょっと描いてみようかな、という軽い気持ちでアメブロで描き始めました」と語る。フォロワーも少なかったため、「描くのが嫌になったらやめよう、誰もみていないし…」とも思っていたという。
書籍化にあたり、より深く描く必要が出てきてから「つらいな」と思い始めた。「思い出したくないこともリアルに描かないといけなくなり、さらに父や母に取材をして思い出させることも心が痛みました。でも、弟に関しての私の知らない事実もあり、結果、話ができてよかったと思いました」と、当時の葛藤を明かす。
事故のリアルな描写を描くのが何よりつらく、夜眠れなくなることもあった。「このままじゃ、ちょっとやばいな、私」と思うときもあったそうだ。
弟のこと、家族のことを描く前と後で心境の変化があったか尋ねると、「自分の心の整理ができました。閉じ込めていた、自分の気持ちを全部吐き出すことができた気がします」と語る。「『16歳で帰らなくなった弟』は私が想像していた以上にいろいろな方に読んでいただいたようで、特に同じ悲しみを背負う、大切な人を亡くした方に『描いてくれてありがとう』と言われて救われたのは私の方でした。弟に、全く想像もしていなかった景色を、たくさん見せてもらったような気持ちです」と、読者への感謝を述べた。
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