職員室。ドアを開けると、コーヒーの匂いがして、冬はやたら暖かく、夏はやたら涼しく感じた、あの部屋。

先生と特に仲が良いわけでも悪いわけでもなかった記者にとっては、緊張するので出来ればあまり行きたくない場所だった。用事がある先生の席まで急いで行かなきゃいけない雰囲気だったし、ほかの先生の机なんてじろじろ見ちゃいけないような気がして、なるべく早足で中を歩いていた。
卒業してからは、入る機会など皆無。今となっては「もうちょっとじっくり観察しておいてもよかったな」なんて。
そんな職員室に、大人のわれわれが、入れるらしい。そして、物色までしてもいいらしい。2025年11月15日~30日の期間、東京・飯田橋の学校跡地を会場に、体験型展示「あの職員室」が行われる。
14日、Jタウンネット記者が先行体験会に参加した。
ノスタルジーが止まらない
「あの職員室」は、15年前に閉校したとある中学校の職員室を、なるべく当時の姿のまま、当時職員室が置かれていた空間に再現した展示だという。
もちろん、一部はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係はないが......。
本物の職員室と同じく、入るときは「失礼します」の一言が必要。これが緊張するんだよなあ。

恐る恐る開けた引き戸の先は......しょ、職員室だ! 職員室がある!

先生たちは座っていないが、学生時代に見た〝あの職員室〟がそこにはあった。
アラサーの記者は、15年前ちょうど中学生。あまりにも既視感のある光景だった。
再現されている「日付」


先生がいなくても、大人でも、職員室はなぜか緊張する。
というか、先生がいないからこそ、なんだか侵入しているような気持ちになって、罪悪感だ。
再現されている時間は、15年前までこの場所にあった「七橋中学校」で2010年に行われた「最後の卒業式」が終わった後。黒板には、3月10日と書かれている。

展示に順路はなく、好きなように歩き回ってOK。
黄色の丸いステッカーが貼られている展示物は、触ったり、開けたり、自由に手に取っていい。

先生の机の上のものを、触れる日が来るとは......。
