大阪市中心部にある公園で死産した女児の遺体を埋めたとして、死体遺棄の罪に問われた20代の女性被告人に対して、大阪地裁は11月5日、拘禁刑1年、執行猶予3年(求刑:拘禁刑1年)の判決を言い渡した。
検視によると、女児は妊娠約30週で死亡したとみられる。発見された遺体は腐敗や虫食いにより、腸や骨の一部が露出していたという。
なぜ死産した遺体は被告人の手元に残り、なぜ公園に埋められたのか。その経緯を追った。(裁判ライター・普通)
●通院せず続けた飲酒と喫煙
被告人は細身で、肩まで伸びた黒髪を下ろし、刑務官に挟まれて入廷した。
逮捕時には実名で大きく報じられたこともあり、傍聴席には多くの人が詰めかけた。配慮からか、年齢や住所など人定事項の確認は読み上げではなく、起訴状を示すにとどめられた。
検察官の冒頭陳述などによると、被告人は大学を中退後、会社員を経て、事件の1年ほど前から事件当時の勤務先に在籍し、2週に1度ほど母親の住む実家に帰省していた。それ以外の時間は勤務先の待機場所で寝泊りしていたという。
勤務先は公判中も「夜職」としか表現されなかった。被告人はその勤務先で避妊せず性交を繰り返し、やがて胎動を感じたが、妊娠を確認する通院はせず、喫煙や飲酒をやめなかった。
●「お墓チックで埋めるにはいい場所」
勤務先の待機所で破水し、その場で出産したが、子どもが産声を上げることはなかった。検視などによると、死因は妊娠30週ほどの常位胎盤早期剥離による窒息とみられる。遺体の肺には腐敗ガスがたまり、胎盤がついたままだった。
出産後、被告人は遺体を仕事用のカバンに入れ、一緒に寝たり、ホテルでの接客時にも持ち歩いていた。
被告人の供述調書によると、遺棄するきっかけは、友人との日帰り旅行だったという。以前、公園を訪れた際に木がたくさんあった記憶や、その雰囲気から「お墓チックで埋めるにはいい場所」と感じたという。
旅行前にコンビニで軍手を購入。現地で穴を掘り、遺体を埋めて、軍手とカバンは捨てた。
その3日後、公園で飼い犬を散歩させていた人が遺体を発見。報道で大きく取り上げられたことを受けて、被告人は勤務先の上司に打ち明けて、自首した。
取り調べでは「妊娠の現実を認められなかった、というのとはちょっと違う。自暴自棄というほうが正しい」「先のことをまったく考えられなかった」と供述している。

