脱臼の前兆や初期症状について
非外傷性脱臼の初期症状では、関節に違和感やゆるみを感じ、痛みや腫れ、動かしにくさなどが出現します。
外傷性脱臼の初期症状では、突然の激しい痛みが最も特徴的です。この痛みは、関節のズレに伴い周囲組織が引っ張られたり、圧迫されたりすることによって引き起こされるもので、関節を動かすことが困難になります。
見た目の変化として、関節の変形や膨らみがみられます。また、神経や血管の圧迫により、末梢の感覚異常やしびれ、血流障害が生じる可能性があります。
特に、上腕骨頭の前方脱臼では腋窩神経(えきかしんけい)の損傷リスクが高まり、肩関節機能障害を引き起こします。また、上腕二頭筋や肩甲下筋などの損傷も伴うため筋力低下の症状も出現することがあります。
脱臼の検査・診断
脱臼の検査・診断は、詳細な病歴聴取と綿密な身体診察から始まります。
ケガのきっかけや、痛みの性質、過去の脱臼歴などを確認し、関節の不安定性のリスク因子を評価します。特に、非外傷性脱臼では先天性疾患が影響するため、病歴聴取は大切です。
身体診察では、視診、触診、関節可動域検査を行い、関節の変形や腫脹、圧痛、関節弛緩性を評価します。
脱臼では、神経血管損傷を伴いやすいため、末梢の感覚や運動機能などの神経学的評価も必要です。明らかに重篤で、骨折や合併症が見られる場合は救急医療機関を受診する必要があります。
確定診断には画像検査が不可欠であり、単純X線撮影を用いて関節の位置関係を評価します。CT検査やMRI検査は、脱臼に伴う微細な骨折を確認するのに使用されます。
反復性脱臼の症例では、MRI検査が関節包や関節唇の微細な損傷の検出に有効です。新生児や乳児の脱臼では単純X線検査で抽出されないことも多いため、超音波検査で診断する場合が多いです。
超音波検査は、軟骨組織の観察に適しているため、軟骨成分が多い小児の股関節脱臼のスクリーニングに用いられます。

