急性白血病の検査法
急性白血病は症状だけでは診断できません。また、白血病のタイプによって適した治療方法が異なります。以下では、急性白血病の診断や治療方法の検討のために行う検査を解説します。
骨髄検査・生検
骨髄検査・生検は、白血病の確定診断に欠かせない検査です。血液検査の結果、白血病の疑いがあると判断された場合に行います。骨髄検査・生検は骨髄を少量採取し、白血病細胞が増殖しているかどうか調べる検査です。局所麻酔をした後、腰骨のなかに針を刺して骨髄液を採取します。
骨髄中の芽球(白血病細胞の可能性が高い細胞)の数が20%以上ある場合に、急性白血病と診断されます。そのうち、ペルオキシダーゼ染色という検査で陽性の芽球が3%未満の場合が急性リンパ性白血病、3%以上の場合が急性骨髄性白血病です。
血液検査
血液検査では、血液中の赤血球・白血球・血小板の数を調べます。白血病の場合、白血球の数は異常に増えているケースと少ないケースがありますが、赤血球と血小板は減少しています。血液検査で異常がみられたら、血液内科のある医療機関で精密検査をしたほうがよいでしょう。
マーカー検査
マーカー検査は、フローサイトメトリーという機器を使用して血液や骨髄血などの細胞表面の抗原を調べる検査です。抗原は細胞の目印のようなもので、病気のタイプによって特有の抗原があります。
マーカー検査は顕微鏡ではわからない白血病のタイプをすぐに判断できるため、早期治療につながります。また、治療後にがん細胞が残っているかどうか調べるときにも使える検査です。
遺伝子検査
異常な遺伝子の有無や種類を調べ、がんの診断・予後の予測・治療方法の選択・治療効果の判断などに活用します。検査で白血病に特有の遺伝子が検出されると、白血病と診断されます。
遺伝子検査は白血病のタイプもわかるので、適した治療薬の選択にも役立つ検査です。
急性白血病の治療方法
急性白血病は進行が早いため、病気が確定したらすぐに薬物療法をして進行を抑える必要があります。血液のがんなので、手術でがんを取り除くことはできません。治療の副作用に対する支持療法も、白血病治療では重要です。また、寛解後に造血幹細胞移植をする場合もあります。
薬物療法
薬でがん細胞を減らしていく治療です。薬物療法には、化学療法(細胞障害性抗がん薬)・内分泌療法(ホルモン療法)・分子標的療法などの種類があります。抗がん作用のある複数の薬を組み合わせ、検査上白血病細胞が検出されない状態(寛解)を目指すのが目的です。
適切な薬物療法を行えば、65歳未満の成人急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病の約80%は完全寛解します。65歳以上の患者さんの完全寛解率は60%台にとどまります。寛解後も体内には白血病細胞が残っているため、薬物療法の継続が必要です。
寛解後に治療をやめると再発の可能性が高いので、寛解状態を維持するには薬物療法を続けることが大切です。
造血幹細胞移植療法
寛解後、健康な造血幹細胞を点滴で入れる治療法です。自分の造血幹細胞を使う場合(自家移植)と、ほかの人のものを使う場合(同種移植)があります。
薬物療法だけでは再発の可能性が高い場合に実施され、白血病の有効な治療法ですが、毒性が強いため適応しない方もいます。
支持療法
支持療法はがん治療の副作用に対する治療方法で、以下のような治療を行います。
感染予防や感染時の抗生剤投与
貧血や出血に対する輸血
吐き気に対する制吐剤投与
体力消耗に対する点滴
抗がん剤治療によっても正常な血球が減少し、感染症・貧血・出血などの症状が出ます。また、薬の副作用で強い吐き気が続く場合もあります。副作用の症状を和らげ、効果的にがん治療をするためには支持療法が重要です。

