あの日のことを思い出すたび、今でも背筋が凍ります。私は車椅子を使って生活していますが、少しでも自立したいという思いから、ひとりで電車旅行に挑戦しました。そのとき、思いがけない出来事に遭遇したのです。
線路に落ちた車椅子のタイヤ
ある日、旅行の途中で電車を乗り換えるため、ホームの反対側へ向かおうとしました。地方の小さな駅で、エレベーターやスロープは見当たりません。
駅員さんの姿もなく、「少しの距離なら大丈夫」と思い、線路を横切って反対ホームへ渡ろうとしたその瞬間、車椅子の片側のタイヤが線路と線路の間に落ちてしまいました。
体が傾き、動こうにもタイヤは完全に挟まって抜けません。焦ってもどうにもならず、時間だけが過ぎていきました。
迫る電車と救出劇
そのとき、遠くから電車の音が聞こえてきました。視界の先には、時間通りに入ってくる電車のライト。
声を出すこともできず、ただ立ちすくんでいると、近くにいた駅員さんや通行人の方が駆け寄ってきて、力を合わせて車椅子を引き上げてくれました。
車椅子は壊れてしまいましたが、幸い、私は大きなけがもなく助かりました。電車がホームに入るほんの数秒前の出来事でした。

